エルサレムの旧市街には、ビアドロローサと呼ばれるイエスが十字架を担いでゴルゴダの丘まで歩いたとよばれる道がある。
18日はグッドフライデー。キリストが十字架にかかったことを記念する日である。今年も正午過ぎ、様々宗派、様々な国籍の大勢のキリスト教徒が、ビアドロローサ(悲しみの道)を様々な賛美を歌いながら歩いて行った。
旗と十字架を手にしている南アフリカ人、東洋人、白い服をまとったエチオピア人・・・アルメニア人にカトリックの僧侶たち。それにパレスチナ人クリスチャンのかわいい子供たちがボーイ/ガールスカウトの服装で歩いて行く。
しかし一番目を引くのはなんといってもBGMをならしながら歩くアメリカ勢。ローマ兵数人に囲まれ、血まみれになったキリストが大きな十字架をかついでよろよろ歩いている。時々むちでうたれて「おー」と言っている。
その周囲で大声で「ジーザス!ジーザス!」と泣き叫ぶ女性も。群衆(カメラやiPhoneを掲げている)に囲まれている姿はさながら現在社会に再現されたキリストの受難。
一緒に並んで撮影していたイスラエル人カメラマンは、「こんなクレイジーをやるのはアメリカ人ぐらいだろ。」と笑っていた。実際、アメリカ勢の後ろから来たのは、対照的に地味な黒服の僧侶に導かれた神妙な顔つきのギリシャ正教の一団。
ところでビアドロローサの一部はイスラム教徒が神殿の丘に行く経路、ユダヤ人が嘆きの壁に行く道とも重なっている。
パレスチナ人の子供たちの鼓笛隊。ハリウッドもどきのアメリカ人にギリシャ正教。それと逆行して神殿の丘から出てくるアラブ人。道の周囲に立っているモスグリーンの数十人のイスラエル兵たちが、お昼のサンドイッチを立ったまま食べている。その間を、正統派ユダヤ教徒がそそくさと歩く。
まったくのカオス(ヘブル語ではバラガン)だが、これがエルサレムである。主はこんなエルサレムを、私たち人類を愛してくださっているのだと実感させられた一日だった。
それにしても、こんな難しい地を任せられるのはイスラエルぐらいではないか・・・とも実感させられた。
<キリスト教を学ぶイスラエル人ツアー>
この雑多な中で、キリスト教徒のイースターウイークを学ぼうとするイスラエル人の一団に会った。ガイドが、キリストの十字架と復活とういうキリスト教徒の信仰(いうなれば福音)をヘブル語で大声で説明していた。
企画しているのはメシアニックではなく、一般の旅行会社。毎年イスラエル人が多数参加しているという。