イスラエルとパレスチナの和平交渉の期限が近づいている。アメリカのケリー国務長官は、「もしこの交渉が失敗に終わったら、イスラエルは世界的にボイコットの対象になるだろう。」との警告的な発言を行った。
実際に、ヨーロッパの国々が、和平交渉が成立しないなら、1967年境界線よりパレスチナ側にあるイスラエルの入植地とのビジネスを停止すると脅迫している。もしそうなれば、イスラエルへのダメージは小さくないと予測されている。
<ハリウッド女優・イスラエルを養護>
ハリウッド女優のスカーレット・ヨハンソンさんは、世界的な人権保護団体オックスファム(拠点イギリス)のグローバル大使を務めてきた。
しかし、そのオックスファムが、入植地にある会社ソーダストリーム*を不当に非難、ボイコットしていると判断し、高額な報酬をなげうってその役職を降りると発表した。
同時に、ソーダストリームが、今年のスーパーボール(アメリカンフットボールの大会。全国的に視聴率がはねあがるためそのCM料は数億に上る)用に作成したCMに出演して、大きな話題と論議になっている。
スカーレットさんは、各方面から非難を受けているが、今後、ソーダストリームの大使として働くという。なお、スカーレットさんは、母がユダヤ人で、父はデンマーク人。
今回、スカーレットさんの行動によって、この問題が世界的に話題となり、ミシュオル・アドミムの工場では、ここしばらく、活動家など様々なグループの訪問や、記者会見が続いているという。逆に、ソーダストリームの宣伝になっているともいえる。
*ソーダストリーム https://www.sodastream.jp/(日本語)
ソーダストリームは、普通の水を炭酸水に変える家電を作成する会社。いわばコーヒーメーカーならぬ炭酸ドリンクメーカーである。水と同社特性のオレンジなどの素を入れれば、少ない糖分で、ファンタオレンジのような飲み物が家庭で製造できる。
日本でこのマシンが入れているのかどうか?? 糖分が少ない、ペットボトルのごみが出ないなどの利点はあるものの、専用ボトルや、炭酸用のボンベが2000円近くするなど、維持費もかかるようである。
会社本部はイギリスだが、イスラエル製品として知られる。いまや世界20カ国にその工場を持つ。このうち最大の工場が、西岸地区入植地にある工場。これが1967年の境界線よりパレスチナ側にあるため、ボイコットの対象になっているのである。
<ソーダストリームの現場>
今日、ミシュオル・アドミムの工場の取材に行ってきた。そこで働いている1300のうち、500人はパレスチナ人、450人はイスラエル在住アラブ人、350人はユダヤ人(ロシア移民が多い)である。
日本ならば、機械化して労働者の数は最小限になるところだが、この会社では、できるかぎり人によるマニュアルで製造している。そのため、労働者がすずなり状態に大勢ならんで働いていた。
ほとんどがアラビア語しか話せないパレスチナの20歳代の若者だ。男子がほとんどだが、女子も数人みかけた。
全員、紺色の上下スウェットを来ているので、一見、刑務所かと思われるような光景だったが、強制労働どころか、日本人的感覚なら、”さぼっている”といってもいいほどのんびりした働きぶりだった。
英語・ヘブル語のできる労働者にきくと、どの人もソーダストリームで働くことの満足を述べていた。むしろ、ここで働けることを誇り思っているといっていた。
パレスチナ人とユダヤ人に関係についても「ここでは皆家族のようだ」とも言っていた。無論、強制されて言っているのではないことはあきらかだった。
<なぜイスラエルはボイコットされるのか>
ボイコットを叫ぶ人の動機は、工場が西岸地区のパレスチナ側にあり、イスラエルはそれによって、国際法上は違法である入植地を正当化しようとしているというもの。
CEOのダニエル・バーンバウム氏は、「西岸地区かイスラエル領内か、パレスチナ自治区なのか、場所はどこでもいいと思っている。ここは”工場”であって、領地ではない。
工場があるからといって、そこがイスラエルの領地にはならない。たとえば、中国にも工場があるが、そこがイスラエルにはならないのと同じ。
ここでは少なくとも500人のパレスチナ人が働いて健全に報酬を得、家族を養っている。ここではパレスチナ人もアラブ人も皆仲良く働いている。これこそ共存のモデルだ。他に共存の形があるなら示してほしい。
ボイコットする人たちは、単にイスラエルを悪魔にしたいだけなのだ。その証拠に、現場を見にこようともしない。」と語った。