イスラエルとシナイ半島の国境から、多くのアフリカ難民がイスラエルへ流入していた問題。難民は内戦状態にあすスーダンやエリトリアから逃れ、高い料金をベドウイン・ブローカーに支払ってイスラエルへ入国しようとしてきた。その数5万人以上にのぼる。
その多くが南テルアビブへ流れ込んだ。イスラエルは難民として認めてくれない。お金はない、働くためのビザも与えない。というような状況で、南テルアビブはスラム化し、犯罪も多発する地域になった。周辺住民は、「危険なアフリカ人を追い出せ」との激しいデモを行うようになった。
これを受けて、昨年、イスラエルはシナイ半島との国境に収容所を設け、不法侵入を試みるアフリカ人を収容して、イスラエルに入らないようにした。昨年には、テルアビブにいるアフリカ人の中で、内戦が一応終わったとみられる南スーダン人については、反強制的に帰国させたりした。
こうした対策で、昨年から、イスラエルへ流入するアフリカ人は激減している。しかし、収容所にいるアフリカ人は行くあてもなく、そのまま保留、据え置き状態になってしまった。
この状態に抗議するため、15日、アフリカ人約130が収容所を出て、エルサレムへ向かって徒歩でのマーチを始めた。17日になってエルサレムの直前のベイトシェメシュに到着し、乱闘の末、数人が逮捕、残りは収容所へ送り返された。
これに続いて19日、100人が収容所を出てベエルシェバへ向かった。ベエルシェバでも警察と衝突し、逮捕者が出ている。*収容所であって拘置所ではないため、一応出入りできる状態。
アフリカ難民たちが訴えているのは、きちんと個別に調査して本物の難民には難民としてのステータスを与えてほしいということである。
イスラエル来る”アフリカ難民”の中には、祖国が平和であるにもかかわらず、よりよい収入のためにイスラエルに来る者が多く含まれていた。そのためイスラエル政府は、個別の調査なく、アフリカ難民をほぼ一括状態で、収容所に入れたままにしているのである。
<アフリカへ帰れない理由:悲惨なシナイ半島の現状>
内戦に苦しむアフリカ難民らは、家族を残し、高額な渡航費を払ってシナイ半島にやってくる。ところが渡航ブローカーらは金を搾取した後難民たちを拘束し、拷問やレイプなどを繰り返しながら、シナイ半島から出さないのだという。
そこからなんとか脱出してきた難民の情報によると、シナイ半島には少なくとも3万人のアフリカ人が捕らわれているのではないかということである。
<アフリカへ帰れない理由:南スーダンで暴動>
南スーダンは長年の内戦を経て、2年前にようやく独立を果たした。しかし、その後も国は落ち着かず、今週初頭から、再び民族紛争が勃発。これまでに500人が死亡している。
スーダンには国連の平和維持軍がいるが、その中のインド兵3人も死亡した。