先週、シリアの化学兵器に関してアメリカとロシアが合意した項目によると、シリアが化学兵器のリストを提出する期限は1週間。その期限が今日、21日に期限を迎えた。
シリアは21日朝、OPCW(化学兵器禁止機構)に対し、1000トンはあるとみられる化学兵器のリストを提出。OPCWもこれを確認した。現在、内容の検証がなされているが、すべて申告したとはいえないとの情報がある。
OPCWは、41カ国代表からなる委員会で、シリアの出したリストを検証するのだが、22日に予定されていた委員会は、突然延期となった。いつ再開かはまだ発表されていない。
<責任たらいまわし!?>
シリア問題を追いかけていると、最終的な責任を負うのはだれかという責任問題がたらいまわしになっている感がある。最初は、超大国アメリカのオバマ大統領1人の肩に責任がかかっていた。しかし、オバマ氏はぎりぎりになって、最終決断を議会の判断にゆだねると言った。
イギリスは、アメリカより先に決断を議会に回した結果、この問題から逃がれた。ヨーロッパは、シリアにはいった査察団の結果しだいということで責任を査察隊の結果発表に回した。
今、大きく責任を負っているのが、ロシアである。ロシアは、化学兵器の申告という案を出して、アメリカのシリア攻撃を回避させた。
つまり、ロシアが責任をもってシリアに化学兵器を提出させると言ったようなもので、いわばロシアが、シリアの保証人になったということである。今やシリアが、正直なリストを出すかどうかは、ロシアの威厳にも関わる問題となっている。
したがって、今最終的な責任は、正直なリストかどうかの結果を出すOPCWということであろう。委員会が延期になっているが、結果をどう発表するのか、これは決して簡単な問題ではない。
<今後は?>
もしシリアが完全なリストを出さない場合、アメリカは、攻撃の可能性を残している。ただし、アメリカは、攻撃する前に、現在開催中の国連安保理でのバックアップを強く求めるだろう。
つまり、OPCWの結果が出た次には、国連安保理がシリアに対し、どういう決議案を出すのか、が焦点になってくる。
しかし、ロシアはあくまでもシリア攻撃には反対することを明言している。アメリカが主張する攻撃には拒否権を発動することは避けられず、再びどうどうめぐりになるかもしれない。今後どう動くのかは専門家にもわかっていない・・・。
<”性的聖戦”が行われているシリア>
国際社会が上記のような混乱に陥っている間も、シリア国内は、相当な暗黒となっている。一昨日のトルコとシリア国境付近の戦闘は反政府勢力どうしの戦闘だった。
戦っていた自由シリア軍とアルカイダは今日になって停戦を宣言したものの、シリア問題の複雑さをあらためて露呈することになった。
さらにシリアに”性的聖戦”と称して、反政府武装勢力の戦闘員を対象に性的サービスに行くチュニジアの女性たちがいるとチュニジア政府筋が発表した。
この女性たちがすすんでか、無理矢理かなどの詳細は不明だが、行けば、100人近い男性と関係を持ち、妊娠して帰ってくるという。アルカイダを含む極端な聖戦主義者サラフィストの間では「性的聖戦」ということが、宗教的に正当化されているということである。
そのアルカイダだが、21日にはケニアのショッピングセンターで乱射事件を起こし、39人が死亡した。この恐ろしいサラフィストの勢力が勢力を伸ばしてこないよう霊的な戦いが必要になってきているようである。