日本でもシリア危機に関するニュースが連日トップになっている。アメリカがシリアへの”限局的”な攻撃が実施されるとすれば、明日9月1日から9月4日までの間という記事が目立つ。
アメリカは、現在地中海に駆逐艦を4隻まで増強しており、巡航ミサイルでシリア軍施設を中心に攻撃するのではないかといわれている。
情勢が緊迫するにつれて、シリアでは、28日、ダマスカスから約6000人がレバノンへ避難。多数のシリア軍兵士が私服に着替えて脱落しているという。アサド政権はアメリカの攻撃に備え、軍の空港や軍事施設などを移動しているという情報もある。
<世界のリーダー、警察として>
アメリカのケリー国務長官は29日、国連の化学兵器調査団の結果発表に先駆けて、米諜報機関の調査結果をもって、今月21日にダマスカス郊外で、1429人が化学兵器によって死亡。犯行はアサド政権であると断定する発表を行った。
さらに、これを放置することは、現在核兵器開発疑惑のあるイラン、北朝鮮に国際社会の無能さを伝えることになり、国際社会にとって非常に危険な状態になる。世界のリーダーとして、これを放置するという選択の余地はないと語った。
ただし、アフガニスタンやイラク戦争のように15万の大地上軍を送り込むような介入ではない。今回はアサド政権打倒が目的ではなく、あくまでも化学兵器使用を処罰し、二度と使用できないようにすることが目的だと協調した。
アメリカの発表に対し、シリアのモアレム外相は、すべてアメリカの嘘であると一蹴。化学兵器を使用したのは反政府勢力だと主張している。
<オバマ大統領にかかる重い決断>
今回、たとえ限局的でも、攻撃した場合の結果は、中東全体をまきこむ大戦争も否定できない。シリアの同盟国ロシア、またイランがどう出てくるかも予測不可能である。
アフガニスタンやイラク戦争で、長い戦争に巻き込まれたアメリカでは、シリアへの介入を支持する国民は少ない。
アメリカはできるだけ国際社会の同意と協力を得ようとしていたが、国連安保理は、相変わらずロシアと中国の拒否権で無能のまま。イギリスは、29日の議会で介入しないことを決めた。ドイツはすでに介入しないことを決めている。
フランスは、現時点ではアメリカに協力する立場である。しかし、イギリスと同様、4日の議会で、アメリカへの協力を審議することになっている。
つまり、4日までに攻撃が実施された場合、アメリカに協力するのは、フランスとアラブ連盟ということである。トルコのエルドアン首相は「攻撃は大規模に行い、アサド政権を打倒するべきだ。」と主張し、若干足並みがそろわない。
オバマ大統領は、「化学兵器は特に近隣のイスラエルやヨルダンへの危機となる。だれもがシリア政府に何かしなければと思っているが、だれもやりたがらない。世界のリーダーとしてアメリカが動かざるを得ない」として、国民の理解を求めた。
*アメリカと同盟国である日本もいずれは立場を明確にしなければならない。中東、世界を歴訪中の安倍首相にも逐一情報が伝えられている。
<イスラエルへの影響>
アメリカは限局だと行っているが、ミサイルが一発撃ち込まれるだけでも、とばっちりを受けるのはイスラエルである。
イランのハメネイ師は、もしアメリカがシリアを攻撃したらミサイル数千発がイスラエルに下ると言っている。実際にそれを行うのはシリアだけでなくヒズボラとみられる。イスラエルとレバノンの国境にはヒズボラ戦闘員がすでに増強され始めているとの情報がある。
イスラエルは北部都市周辺にアイアンドームやアローなど様々な迎撃ミサイルを配備した。さらにこれに乗じて南部からの攻撃も否定できないため、テルアビブ周辺にも迎撃ミサイルを配備増強。
国民には、ガスマスクが配布されている他、イスラエル軍の国土防衛部が、攻撃があった際にどうするかなどの教育活動が行われている。
ネタニヤフ首相は、今週末はカイザリヤの自宅ですごさず、エルサレムで治安関係者との会議を重ねた。しかし、日々の一つ一つの決断をいちいち会議で決めるわけではなく、ネタニヤフ首相と、ヤアロン国防相が決めていくことになる。
今後のとりなしとしては、ネタニヤフ首相、ヤアロン国防相、加えてイスラエル軍のガンツ参謀総長である。
なお、イスラエルはあくまでもシリアへは不介入の立場であるため、閣僚たちにはシリア関係のコメントをいっさいしないようにとの指示が出されている。
<ゴールデン・マンスを迎えるイスラエル>
イスラエルでは、9月4日から新年祭が始まり、贖罪の日、仮庵の祭りと秋の例祭シーズンに入る。イスラエル人の多くは海外旅行、逆に国外からは、ユダヤ人、クリスチャンが大挙してやってくる観光シーズンである。この時期に戦争とは全くもって迷惑な話。
ネタニヤフ首相は、国民に対し、「おちついて、予定を変えないように。」と指示。ただし、毎年この時期には海外でイスラエル人がテロに狙われるため、警戒をするようにとの警告は、いつものように出されている。
日本ならパニックになりそうな事態だが、イスラエル人は”慣れている”ので、いつもと変わらない新年の準備が行われている。