ゴラン高原で、国連スタッフ人質 2013.3.7

6日、シリア反政府勢力の「ヤルムク殉教団」と名乗る一派30人ほどが、ゴラン高原のイスラエルとシリアの間で、UNDOF(国連兵力引き渡し軍)の車両隊とそのフィリピン人隊員約20人を人質にとり、ユーチューブで要求を流した。

要求は24時間以内にシリア政府軍が、アル・ジャムラ(写真:ガリラヤ湖に近い)から撤退すること。もし撤退しない場合は、人質20人は囚人扱いすると訴えている。

国連安保理はこの行為を非難、ただちに無条件に人質を解放するよう要求。現在交渉が行われているもよう。

*UNDOF(国連兵力引き離し軍)

UNDOFとは、ヨム・キプール戦争の後、シリアとイスラエルが衝突しないようゴラン高原に設けられた緩衝地帯で、両者の間に立って監視する国連平和維持軍の一つである。

クロアチア、フィリピン、インドなど複数の国々が軍隊を派遣。日本の自衛隊も昨年までUNDOFに参加していたが、今回のような事態が懸念されたため、昨年中に撤退している。

UNDOFの仕事は基本的に、監視であり非武装である。そのため、軍隊と言っても実際には”なにもしない”軍隊と言われている。

<イスラエルとの関連は?>

今回の事件はイスラエルがかねてより、シリアが崩壊したら無法地帯になり、聖戦主義者などが入り込むだろうと警戒している地域で発生している。現時点では、今回の件にイスラエルはまだ何も関わっていない。警戒態勢も変わりなし。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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