シリア人負傷者イスラエルの病院へ 2013.2.17

16日、ゴラン高原のシリア側、イスラエルとの国境からわずか5キロの地点でシリア軍と反政府軍の戦闘が観測された。

この戦闘で負傷したシリア市民7人が、ゴラン高原のイスラエルとの国境フェンスに近づいてきたため、イスラエル軍が応急処置をほどこし、イスラエル領内ツファットの病院へ搬入して治療を続けている。

このうち1人は重傷。4人は中等度の負傷、2人も外科手術が必要なほどの負傷である。

<悲惨なシリア情勢続く>

シリアでは15日の戦闘だけで170人が死亡したもよう。シリア内戦の死者は現在までで70000人(アメリカのケリー国務長官は9万に至るだろうとの見通しを語っている)

国連の難民登録を申請しているシリア人は71万4831人。ヨルダンに22万4055人。レバノン23万2425人。トルコ16万3161人。イラク7万9469人。エジプト1万4375人。シリア国内では200万人が自宅を失い、300万人が食料支援を必要としている。(ロイター1月末時点)

イスラエルへは難民は1人も来ていないが、今回の負傷者収容をきっかけに難民が流れ込む可能性も指摘されている。

<ロシアのシリア政府軍事支援続行中>

ロシアは、「契約だから」と、いまだに大量の武器をシリア政府に送り続けている。フィンランド政府によると、昨年中に押収されたロシアからシリアに向かっていた武器(戦車部品)は10トンにのぼるという。

<イスラムのシーア派対スンニ派>

シリアの内戦は、政府軍(シーア派)対反政府軍(スンニ派)という構図も含んでいる。この構図に火がつけば、戦乱がさらに拡大、長引くことになる。

パキスタンでは、1月にシーア派の町ケッタの中心でスンニ派が爆破テロをおこして92人が死亡したが、昨日、その同じ町で再び爆破テロが発生。79人が死亡した。現場が混雑するマーケットだったため、死亡した人々の多くが女性と子供たちだった。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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