シドニーでの銃撃テロその後:犠牲ラビと犠牲者たちの葬儀 2025.12.17

A Hanukkah menorah is projected onto the sails of the Sydney Opera House in memory of the victims of the terror massacre at a Hannukah event at Bondi Beach in Sydney on December 15, 2025. (David Gray/AFP)

12月14日(日)に発生した、オーストラリアの首都、シドニーのボンダイ・ビーチでの銃撃テロから3日目。これまでの死者は15人。負傷者は40人以上という、10月7日のハマス襲撃を彷彿とさせるような大惨事となった。

その後の調べで、通りかかった車のドライブレコーダーから、新たに、ロシア系ユダヤ人移住者のボリス(69)とソフィア(61)ガーマン夫妻が、銃撃に向かう直前のテロリスト、サジドを止めようと飛びかかり、阻止しようとしていたことがわかった。

ボリスさんは、サジドから、いったん銃を奪ったが、サジドが別の銃で、夫妻を殺害していた。2人もヒーローとされている。しかし、夫妻の息子は、両親を一気に失ったことになる。

www.timesofisrael.com/jewish-couple-tussled-with-sydney-terrorist-before-killing-spree-began-and-were-slain/

なお、テロリストは、ISに関係するサジドとアクラム・ナヴェード父息子で、父親のサジドは、現場で銃殺されたが、アクラムは負傷して生き残っている。

オーストラリア政府は、17日(水)、アクラムを59の罪で起訴すると発表した。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/bondi-gunman-charged-with-59-offenses-including-terror/

今回のテロに先立ち、オーストラリアのユダヤ人コミュニティはじめ、イスラエル政府も、オーストラリア政府に、ユダヤ人へのテロの可能性があると警告していたという。

にもかかわらず、ボンダイビーチに、ユダヤ人1000人以上が集まるハヌカのイベントを警備していた警察官は、わずか2人だった。

ユダヤ人に対するテロが、容認されたかのような流れである。オーストラリアでは、近年、反シオニズムから反ユダヤ主義が一般化しており、今後も悪化する予感しかないというのが現状である。

www.timesofisrael.com/daughter-of-holocaust-survivor-shot-in-attack-antisemitism-allowed-to-fester-in-australia/

16日(月)夜には、シドニーのオペラハウスに、ハヌカのメノラーが灯された他、現場では追悼式も行われた。その後も現場には、多くの花が捧げられ、人々が茫然とそこに座っている。

Family members in a final farewell to Rabbi Eli Schlanger
(Photo: Kate Geraghty / POOL / AFP)

17日(水)、ボンダイ・ビーチのハバッド派シナゴーグでは、殺害された2人のラビの葬儀が行われた。

この時点では、警察と民間警備隊と、ユダヤ人自身の警備隊が、ビーチの警備にあたっているとのこと。

www.timesofisrael.com/first-funerals-held-for-victims-of-bondi-beach-hanukkah-massacre-our-own-oct-7′/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。