イスラエルが頼れるものはF35ステルス戦闘機ではないという現状:Ynet記事から思うこと 2025.11.24

IDF

イスラエルを取り囲む状況は、ますます混沌としている。しかし、ネタニヤフ首相は、防衛のために、特に軍事力に力を入れて、何がなんでも国を守ろうとしている。それが、世界の批判をさらに招く結果にもなっている。

east of Khan Younis on October 7, 2023 [Yousef Masoud/AP Photo]
しかし、その最先端の軍事力が、まったく有益に働かなかったというのが、10月7日だったのである。

当時、イスラエルは、世界最高レベルの戦闘機、世界トップクラスの情報収集能力、サイバー技術、迎撃防衛システム、特にガザにおいては、相当な資金を投じて完成させた、地上・地下をも守るサイバーシステムの壁に防御されていた。

これだけの技術に囲まれていながら、技術的には、タコに爆弾をつけて飛ばしてくるレベルのハマスに、まんまと領内侵攻を許してしまったのである。

イスラエルでは、この時のことを忘れてはならないと、以下のオンラインのミュージアムを公開した。

www.710360.kan.org.il/en/

なぜこんなことが起こってしまったのか。あの朝、警告が確かにあったにも関わらず、当時の政府、軍指導者たちは、ガザのハイテク防業技術があるからと考え、それらに対応しなかった。

当時、西岸地区の情勢が緊迫しており、軍はすべてそちらに回されたままで、ガザ周辺は、ほぼ無防備だったので、すぐに応援を送ることもできなかった。

高ぶりに対する辱め意外の何者でもなかった。特に国民を守るはずのイスラエル軍にとっては、あまりにも痛い結果だったと思われる。

June 22, 2025. (Israel Defense Forces)

当時のハレヴィ前参謀総長はじめ、関係した司令官たちは、すでに、責任をとって辞任している。しかし、11月23日(日)、イスラエル軍のザミール現参謀総長は、正式に、この人々の責任に対して処罰すると発表した。

www.jpost.com/israel-news/defense-news/article-874930

しかし、ネタニヤフ首相はじめ、当時の政府指導者は、誰一人、責任をとっていない。国民からは、政府も独自の調査部門を立ち上げるべきだとの訴えも出ているが、今の緊急性を理由に、応じようとはしていない。

Ynet ニュースは、この状況から、「あの朝、技術だけでは国を救えないことが明らかになった」と訴える記事を出していた。敵から身を隠すステルス戦闘機は、真の危険を見えなくしていたと表現した。

では何が必要なのか。Ynetは、①戦闘機よりも情報収集、②軍事力より、戦略的優位、③地理の有益活用をあげていた。

www.ynetnews.com/opinions-analysis/article/bk00ywcgbzg#google_vignette

これらは有益だろう。しかし、それも完璧ではない。結局のところ、イスラエルが頼るべきはやはり、その神である主であることを、知るべき時になっていると感じる。

実際のところ、主に立ち返る世俗のイスラエル人が増えているとの記事も時々みかける。(救われるという意味ではない)

ゴルダ・メイヤー第4代イスラエル首相は、イスラエルの領地が今の形になったのは、すべて、周囲の敵が攻撃してきた結果であったことを指摘していた。

イスラエルが計画したわけではなく、流れの中で、今のイスラエルが国になったのである。

勝てるはずのない、当時はボロボロだったユダヤ人の国、イスラエルの再建は、地球の創造主であり主権者である神、主がそう導いたからこそ可能であったことは明らかである。

 

私たちもまた同様。イスラエルが、世界に示していることは、結局のところ、この主である神こそが、本物であり、唯一実在する神であるということ。この方こそ信頼でき、頼れる主権者であるということである。

特にイスラエルはこれを示す最前線にいる国である。軍事力や作戦に執念を燃やすネタニヤフ首相。それとともに、肝心のイスラエルの神に頼ることを忘れないようにと祈る。

主はこう仰せられる。主は太陽を与えて昼間の光とし、月と星を定めて夜の光とし、海をかき立てて騒がせる方、その名は万軍の主。

「もし、これらの定めがわたしの前から取り去られるなら、―主の御告げ―イスラエルの子孫も、絶え、いつまでもわたしの前で一つの民をなすことはできない。」

主はこう仰せられる。「もし、上の天が測られ、下の地の基が探り出されるなら、わたしも、イスラエルのすべての子孫を、彼らの行ったすべての事のために退けよう。―主の御告げ―

見よ。その日が来る。―主の御告げ―その日、この町は、ハナヌエルのやぐらから隅の門まで、主のために建て直される。(エレミヤ記31:35-38)

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。