大雨で水害・出ガザ希望者増加か:南アフリカへ153人ビザなし渡航 2025.11.17

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冬の大嵐到来:ガザではテント村が水浸し

ガザを含むイスラエル地域では、冬に雨が降り、寒さはより厳しいものになる。この11月14日(金)15日(土)、この地域に、季節はずれに早い冬の豪雨強風が到来した。テルアビブでは、強風により通りの木が倒れ、駐車中の車が破損するなどの被害も出ていた。

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この嵐は、当然、ガザにも悲惨な被害を及ぼしていた。難民が避難しているハンユニスや、海岸砂漠地帯にある人道避難地域のアルマワシでは、洪水となり、テントの中も水浸しになった。

ガザ住民のバシル・ナガーさんによると、テントは闇市場で、2300シェケル(約10万円)もしたとのことだが、台無しである。また水道も下水も混ざってしまっているとのこと。

www.timesofisrael.com/first-storm-of-the-season-pummels-gaza-flooding-tent-camps-and-makeshift-shelters/

出ガザ申請ガザ市民1万人:153人が南アフリカにビザなし渡航

テントがほぼすべて崩壊する中、避難所はない。しかし、海外沿いなので強風で寒さも厳しくなるので、対策は急がれるが、その手段もない。こうした中、アル・ジャジーラによると、すでに1万人が出ガザ申請書を提出したとのこと。

その出ガザに関しての出来事が発生していた。11月13日(木)、南アフリカのヨハネスブルグ空港では、153人のガザ市民が乗ったチャーター機が、ケニアから到着した。

しかし、乗客は、通常入国の条件となる、出国スタンプ、南アフリカへの入国許可や、宿泊先や帰国便の書類を持っていなかった。そのため、乗客は飛行機に、長時間、足止めとなった。

その後、南アフリカ政府は、第三国(カナダ、オーストラリア、マレーシア)のビザを持っていた23人は、そこからそれらの国へ出発させ、130人については、とりあえず、90日間のビザを発給して入国させた。

その後の宿泊所などは、NGO団体ギフト・オブ・ザ・ギバーズが支援しているという。しかし、これから、滞在期限が来るまでに第3国への移動手配をしなければならない。

調べによると、イスラエルは、出ガザ願いに基づき、11月12日(水)、153人のガザ市民をイエローライン側に入らせ、そのままラモン空港まで誘導して、そこから飛行機で出国させていた。

イスラエル側は、153人が、南アフリカのビザを持っていると思っていた主張しているが、153人は、誰1人、どこへ行くかも知らなかったという。ラモン空港を出たチャーター便は、ケニアに向い、そこから、別のチャーター便で南アフリカに向かっていた。その時はじめて、南アフリカに向かうことがわかったといっている。

www.timesofisrael.com/south-africa-probing-origin-of-unexpected-charter-flight-carrying-153-palestinians/

France 24によると、ガザには、高額の費用(1人1500ドル以上)をとって、出ガザを手配するグループが複数あり、すでに資金に余裕のある4万人がガザを出たとみられている。

しかし、今回153人を、イスラエルの空港を経由して南アフリカへ送り出したグループは、アル・マージと呼ばれるグループで、明らかに、イスラエルと協力していたことが注目されている。

イスラエルは、ガザから市民が外国へ出ることを推奨しているので、こうした動きに協力している可能性がある。特に南アフリカのビザがあるかないか確認しないまま、出発させたのではないかと疑われている。

石のひとりごと

ガザ市民がこういう状態にある中、ハマスは、今、ガザの復興を考えている国際社会の努力を拒否しているということである。

ガザの人々の実際の様子は、全部わからないのではあるが、少なくとも153人は、ガザを脱出した。この人々がイスラエルを憎まず、新たな生きる道を発見できるように、救いに導かれることを祈る。また貧しすぎて、ガザを出ることは不可能な人々にも主のあわれみがあるように。

なお、イスラエルとガザに被害をもたらした暴風雨はすでに去り、虹が出て、今は暑いぐらいになっているとのこと。

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石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。