ガリラヤ湖水位危機的低下:世界初・淡水のガリラヤ湖に淡水化した海水の注入開始 2025.11.12

The water level has dropped sharply this year (Photo: Avihu Shapira)

ガリラヤ湖の水位は、現在、海面下213.33メートルで、危険レベルからわずか13センチ上という危機的水位になっている。

少し前になるが、10月23日、イスラエルの水道局は、水不足傾向が続くガリラヤ湖に、静かに淡水化した海水の注入を開始していた。

これにより、水位は、0.5センチ上昇した。今後毎月0.5センチ上昇させる計画とのこと。

淡水化した水は、ツァルモン川から注入され、ガリラヤ湖から北西4キロ地点にある、干上がっていた、エイン・ラピードの湧水に流し込んで、湧水を復活させて、ガリラヤ湖に流れ込むようになっている。

注入パイプは2本あるところ、現時点はまだ1本しか使われていない。必要に応じて注入量を増やせる形になっている。

しかし、淡水化したとはいえ、淡水湖に海水を注入するのは、文字通り世界で最初である。このことで、ガリラヤ湖の塩分量が減り、そこから死海へ流れる水の変化により、生態系に影響を与えるのではないかとの懸念もあった。しかし、科学者の実験により、その心配はないとの判断になったとのこと。

このプロジェクトは、2013年と2018年に、ガリラヤ湖が深刻な水不足に陥ったことで、飲料水にも危機が及んだため、開発が急がれた。

イスラエルではすでに、人が飲料水として利用できるまで、海水を淡水化することに成功している。空気から水を生成するスタートアップ社も登場している。

なお、イスラエルでは、来年の降水量は、通年に80%と推測しており、2万ドュナムの農業地で水が不足すると予想されている。こうした技術が活躍することになる。

www.timesofisrael.com/in-world-first-israel-begins-pumping-desalinated-water-into-depleted-sea-of-galilee/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。