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パリでイスラエルフィルハーモニーが演奏中に妨害テロ
11月6日(木)夜、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団が、パリのフィルハーモニーホールでコンサートをしている最中に、親パレスチナ、反イスラエルデモ隊が、会場で客席に火をつけて炎上させたため、コンサートは中止を余儀なくされた。
男性3人と女性1人が逮捕され、その後の裁判で、4人全員が正式に起訴された。
イスラエルの管弦楽団が、パリのこのホールで演奏することについては、複数の団体から反対が出でいた。しかし、フランスの文化省は、文化活動の分かち合いにおいては、いかなるボイコットも正当化するべきではないとして、イスラエル管弦楽団の演奏会を認めたとの経過があった。パリ・フィルハーモニーホールも、演奏の妨害を非難する声明を出した。
しかし、先の9月、ベルギーは、指揮者が、著名なイスラエル人指揮者ラハブ・シャニ氏であったことから、ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団の演奏を、キャンセルさせて、物議となっていた。理由として、当時のイスラエル政府のガザ戦争への態度が明らかでないということを挙げていた。
www.timesofisrael.com/four-charged-over-disruptions-of-israel-philharmonic-concert-in-france/
ナチスの水晶の夜から87年:サバイバーたちが警鐘
今から87年前の1938年11月9日、ドイツでは、水晶の夜(クリスタル・ナハト)が起こった。ベルリンはじめ、ドイツ各地で、ナチスと暴徒たちがユダヤ人のシナゴーグはじめ、ビジネスや家屋を襲撃し、ガラスを破り、放火した夜のことである。
イスラエルのホロコースト記念館によると、この夜だけで、ユダヤ人が少なくとも91人殺害され、(被害者であるにもかかわらず)3万人が逮捕された。放火されたシナゴーグは1400件、店舗など破壊されたビジネスは、7500と推測されている。

101歳で今も健在のウォルター・ビンガムさんは、14歳の時に、フランクフルトで、この夜を体験した1人である。この夜のことは細部に至るまで、覚えていると語っている。この日、消防車は、炎上するシナゴーグは放置し、その隣に延焼しないようにだけしていたと語る。
ジョージ・ジェフィさん(94)は、当時7歳。水晶の夜の後、3日間、家から出られなかったと語る。ウォルターさんとジョージさんは、どちらも、この後、キンダートランスポートというユダヤ機関の子供を助けるプロジェクトで、両親と離れ、1人イギリスへと避難した。
ポール・アレクサンダーさん(87)は当時1歳未満だった。数週間後、両親は、まだ1歳にも満たないポールさんを必死の思いでキンダートランスポートに委ねた。イギリスでこれらの子供たちは、ユダヤ機関に保護され、終戦までを過ごした。ウオルターさんは、青年となり、イギリス軍に従軍していた。
水晶の夜から87年目にあたり、3人のサバイバーたちは、今の世界の状況が、1930年代と同じだと警告を発した。
ウォルターさんは、反ユダヤ主義は、あらゆる困難の万能役(逃げ場)になるので、なくなることはないとしながらも、次世代への教育がそれとの戦いに役立つと語っている。
ウォルターさんは、101歳ながら、現役ジャーナリストとして、証言や記事も発信し続けており、2021年から、世界最年長のジャーナリストとして、ギネスに登録されている。
