目次
国連安保理がシリアのアル・シャラア大統領への制裁解除可決

11月6日(木)、国連安保理は、シリアの暫定政権シャラア大統領が、10日に来日するのに先立ち、シャラア大統領にテロリストとして課していた制裁を解除するかどうかの採択を行った。
結果、圧倒的多数で可決(中国は棄権)。シャラア大統領への制裁は解除されることとなった。
シリアのアル・シャラア暫定政権大統領は、イスラム主義過激組織アルカイダ出身であったことから、1年前までアメリカは、その殺害に1000万ドルの懸賞金をかけていたほどの人物である。
しかし、そのシャラア氏とその組織が、50年近く独裁政権を続けていたアサド政権を打倒し、より多様性に寛容なシリアを立ち上げる動きを開始した。国際社会は、懐疑的だったが、それから1年、シャラア暫定政権の動きを見て、信頼できると判断したようである。
アル・シャラア大統領は、10日(月)、アメリカを訪問することになっており、ホワイトハウスを訪問する初のシリア大統領になる見通しである。
www.nytimes.com/2025/11/06/world/middleeast/unsc-syria-al-shara-sanctions-removed.html
ダマスカス空軍基地に米軍駐留予定

こうした動きの中、アメリカは、ダマスカスの空軍基地に、米軍の存在を置く準備を始めている。ISとりしまりに有効とみられる他、イスラエルとシリアの間の平穏にも功を発するとみられている。
イスラエルは、シリアでの内戦に乗じて、イランをはじめとする、イスラエルを攻撃しようとするテロ組織や、トルコ関係組織がシリアへ進出してくることを警戒し、首都ダマスカスを含め、そうした動きがある地域への攻撃を続けている。シリア政府は、イスラエルのこの動きは国際法違反だとして、非難している。
こうした中、トランプ大統領は、シリアとイスラエルを仲介し、水面化で不可侵条約を結んで、両国の間に、非武装地帯を制定する話を進めている。ダマスカスの空軍基地は、その地域に近いこともあり、そこに米軍の存在が加わることで、両国のこの計画を推し進めるものとみられる。
www.jpost.com/middle-east/article-872948
なお、米軍は、シリア北東部にはすでに軍を駐留させており、ここ10年の間、クルド人勢力のISとの戦闘を」助けてきた。ISが弱体化していることを受けて、ここでの米軍は、1000人まで半減させるとしている。
石のひとりごと
ダマスカスにアメリカがいる以上、イランからヒズボラへの支援は、さらに届かなくなる可能性が出てくる。レバノン情勢が緊張する中、この動きが、ヒズボラを抑制することにならないか期待したい。
