ハマスが次の遺体4人を赤十字に引き渡し :イスラエルは制裁措置継続と 2025.10.15

IDF troops salute over the caskets containing the bodies of slain hostages Guy Illouz, Bipin Joshi, Yossi Sharabi and Cpt. Daniel Perez in the Gaza Strip, late October 13, 2025. (Israel Defense Forces)

13日解放の遺体4人の身元判明

10月13日(月)、ハマスは、生存する人質20人全員を解放。その後、4人の遺体をイスラエルに引き渡した。その後、テルアビブの法医学研究所で身元確認が行われ、ハマスが発表した名前と一致した。

4人は、ガイ・イルーズさん(26)、ノバ・ミュージック・フェスに参加していてハマスの攻撃に遭い、負傷して拉致された。傷が原因で死亡したとみられている。

ヨシ・シャラビさん(53)は、キブツ・べエリの自宅でハマスの襲撃を受けた。家族は守りきったが、ヨシさんは拉致され、監禁中に殺害されていた。

ダニエル・ペレス大尉(22)は、戦車指揮官で、10月7日の戦闘で死亡したが、遺体は拉致されていた。

戦死が確認された2024年3月に、葬儀が行われたが、家族は、遺体が戻った今、2回目の葬儀を行うと言っている。

ピピン・ジョシさん(23)はネパール人でイスラエルに農業学生として滞在中、キブツ・アルミムでハマスの襲撃を受けた。

仲間とシェルターに逃げたが、ハマスが手榴弾を2個投げ込み、ビビンさんが1個は投げ返したが、1つが爆発し、中にいた全員が負傷。

ピピンさんは、負傷者を助けようとしていたが、ハマスに拉致された。いとこに、「僕に何かあったら、僕の家族をたのむ。強く、未来に目を向けて」とメッセージを送っていた。

ハマスが次の4人の遺体引き渡し:イスラエルが制裁措置発表後

ハマスは、人質の遺体28人を返還する約束だが、初日、生存人質20人を解放後、遺体は4人しか、引き渡さなかった。このため、イスラエルは、合意違反だとして、14(火)ラファの検問所を閉鎖し、搬入される物資を制限すると発表した。

すると、14日深夜、ハマスが、新たに人質とみられる4人の遺体を赤十字に引き渡した。今回、ハマスは、名前は発表しなかった。

以下は遺体が搬送されてくる時の様子。この時も大勢の人々が路上で、遺体を乗せた車両を迎えていた。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/israel-said-to-cancel-planned-gaza-sanctions-as-hamas-expedites-return-of-dead-hostages/

4人の遺体は、同様に、テルアビブの法医学研究所に搬送され、これまでに3人の身元が特定された。

エイタン・レヴィさん(53)。タクシー運転手で、10月7日当時、付近にいてハマスに殺され、遺体はガザへ拉致されていた。

民間人のウリエル・バルーフさん(35)。ウリエルさんは、ノバ・ミュージック・フェスで拉致された後、殺されていた。2児の父親だった。

タミールさん 妹2人と

タミール・ニムロディさん(20)。タミールさんは、2023年10月7日、19歳の時にガザ地区の調整連絡局で任務中に、ハマスに拉致された。

同僚たちの死亡が確認される中、タミールさんは、重体と伝えられたまま、公式には生存であり、死亡とはまだ宣言されていなかった。

このため、家族は、生存者20人が解放される際、タミールさんの名前が上がらなかったので、どう捉えたらいいのかと不安を訴えていた。結局、タミールさんは、遺体になって帰ってきたということである。

最新の情報では、4人目の遺体は、人質ではなく、ガザ住民の遺体とみられている。

新たな4人の遺体送還を受け、イスラエルは制裁措置をいったん保留にすると言っていたが、これを撤回。継続すると発表した。

www.ynetnews.com/article/b1h5sm2pxx

www.timesofisrael.com/4-bodies-purportedly-of-unnamed-hostages-return-to-israel-after-threat-to-limit-aid/

石のひとりごと

ハマスが果たして、イスラエル人の遺体を2年間も保護していただろうか。その多くはどこにあるかもわからないのではないかと懸念する。遺体を返さない場合、イスラエルはどう出るだろうか。

生きていた20人の生還は本当に嬉しいニュースだが、その横で、家族の遺体が戻ってこない人々の痛みは想像を絶する。人の心をここまで持て遊ぶハマス。人間を超えた悪を思わない人がいるだろうか。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。