生存人質20人全員ガザから解放:テルアビブ人質広場などで喜びを分かち合うイスラエル人たち 2025.10.13

解放されたアロン・オヘルさん GPO

ガザから生存人質20人解放

ハマスとイスラエルが人質解放と停戦に合意したことを受けて、拉致されてから738日目にあたる10月13日(月)、朝8時(日本時間午後2時)、ガザで人質の赤十字への引き渡しが始まった。

最初に解放された7人は、エイタン・モルさん、ガリとジブ・ベルマンさん、マタン・アングレストさん、オムリ・ミランさん、アロン・オヘルさん、ガイ・ギルボア・ダラルさん。全員自力で歩いているとのこと。

以下は引き渡しの際に表に出てきたハマスたち

ガザから出る赤十字の車

 

赤十字からイスラエル軍に引き渡されると、写真やオンラインでの電話で家族とつながり、家族たちの興奮した様子が伝えられた。

家族たちは、ガザ国境レイムのイスラエル軍基地に待機している。救急隊はじめ、国内の病院も人質たちのケアにフル体制で待ち構えている。

ネタニヤフ首相夫妻は、人質一人一人に、直筆で、ユダヤ人すべてからとする帰国を喜ぶメモを準備したとのこと。

レイム基地からイスラエル国内に続く道にも、帰国を歓迎する人々が待っている。

この様子は、現地からテルアビブの人質広場のスクリーンにオンラインされる。Times of Israelによると6万5000人が集まって見守っている。解放される人質の名前が出るたびに歓声が上がっている。

人質の家や近隣の人々も集まって、オンラインでの解放を見守っていた。

政府は刻々と進む解放を、生中継しているが、その後、人質たちは、基本的な検査の後、家族を大号泣の再開を果たす様子が伝えられている。

テルアビブの人質広場では、今日がユダヤ教のシムハット・トーラー、またホシアナ・ラバであることから、角笛を吹いて祝う様子もみられていた。

イスラエル政府プレスオフィスは、メディアに対し、以下の聖書か所と祈りを伝えていた。

捕囚から帰って来た全集団は、仮庵を作り、その仮庵に住んだ。ヌンの子ヨシュアの時代から今日まで、イスラエル人はこのようにしていなかったので、それは非常に大きな喜びであった。(ネヘミヤ書8:17)

私たちの神、主、全世界の王、あなたの御名を賛美します。主は私たちに命を与え、支えて、今のこの時に到達することができました。

最初の人質が家族との再会を果たしていたころ、11時(日本時間午後5時)、残り13人の人質も赤十字へ、イスラエル軍へと引き渡しが進んだ。

バル・クパシュテインさん、エヴィヤタル・デービッドさん、ロム・ブラスラヴスキーさん、ヨセフ・ハイム・オハナさん、セゲヴ・カルフォンさん、

アヴィナタン・オールさん、エルカナ・バフビットさん、マクシム・ヘルキンさん、ニムロド・コーヘンさん、マタン・ザングーカーさん、デービッドとアリエル・クニオさん、エイタン・ホーンさん

以下は、マタン・ザングーガーさんと母親の感動の再会の様子。

これで、生存する人質20人は全員、ガザからイスラエル領内に解放された。ちょうどそのころ、トランプ大統領は、エルサレムのクネセット(国会)に到着していた。

この後、続いて人質などの26人の遺体が、イスラエルに帰国する流れになっている。

パレスチナ囚人の解放

オフィル刑務所 on October 13, 2025. (Charlie Summers/Times of Israel)

生存する人質20人の解放が完了すると、イスラエルから、パレスチナ人収監者250人と、ガザから拘束した1718人を釈放する。囚人たちはすでにバスに乗って待機している。

なお、ギリギリになって、ハマスがイスラエルから釈放されるパレスチナ人に要求を突きつけてきたため、イスラエルは、リストの変更を余儀なくされた。

たとえば、リストに上がっていた2人が、1人はすでに釈放済みで、もうひとりはハマスではなく、ファタハであったことから、解放の対象ではないとされた。

この2人の代わりに、ハマスだが、終身刑ではない2人が釈放されることになった。この他にも変更があったもようである。変更は、閣僚たちの間で、電話による確認投票が行われて、決定したとのこと。

終身刑で収監されていた250人は、115人が、東エルサレムと西岸地区の自宅へ送還されるため、オフィル刑務所へ、135人は、ガザ地区を含む海外への強制送還されるため、ネゲブのケツィオット刑務所に集められている。

ガザで拘束された1718人と、ガザから回収していたパレスチナ人360人の遺体は、ガザへ送還される。

www.timesofisrael.com/hostages-families-assemble-near-gaza-border-as-nation-anxiously-awaits-their-return/

石のひとりごと

人質たちが2年たってようやく戻ってきた。イスラエル人たちのこの国を挙げて喜んでいる様子に感動する。テロリストを2000人釈放して、たとえ、皆がリスクを背負うことになっても、人質が帰ってくることの方を望むのである。

イスラエルでは、国にとって、不要な人は一人もいない。皆がそれを理解することだろう。こんな国は他にない。これこそ、神に選ばれた民の様相ではないだろうか。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。