アメリカがガザ停戦に向けた21項目提示:ネタニヤフ首相は合意するか 2025.9.29

US President Donald Trump welcomes Israeli Prime Minister Benjamin Netanyahu at the entrance of the White House in Washington, U.S, February 4, 2025. (photo credit: REUTERS/LEAH MILLIS)

アメリカが湾岸アラブ諸国にガザ停戦案21項目を提示

US Secretary of State Marco Rubio attends a meeting with the Foreign Ministers of the Gulf Cooperation Council nations at the Lotte Palace Hotel, Wednesday, Sept. 24, 2025, in New York. (AP Photo/Stefan Jeremiah, Pool)

ガザの戦争が終わらない限り、イスラエルへの非難と孤立は深まる一方である。アメリカのトランプ大統領は、まずは、停戦に持ち込むことを目標にしている。

このため、国連で世界諸国の代表が、ニューヨークに集まる機会を利用して、9月24日(水)、ルビオ国務長官が、湾岸協力会議(GCC)の外相に対し、ガザの戦争を終わらせるための21項目を提示し、協議する時を持った。

GCC諸国とは、バーレーン、クエート、オマーン、カタール、サウジアラビア、UAE(アラブ首長国連邦)の6か国である。

この21項目には、人質全員解放や、ハマスがガザで権力を持たないなど様々な項目を取り入れながら、将来的にパレスチナ国家を設立するためになすべきことがあげられている。

かつてトランプ大統領は、ガザを一掃して、リゾート地にすると言っていたが、それとは違って、パレスチナ人がガザにとどまることを認め、将来的なパレスチナの国を目指すなど、湾岸諸国の意向も取り入れた現実的な案である。その21項目のまとめは次のとおりである。

1)ガザは非過激化され、テロのない、近隣に脅威のない地域になる。
2)ガザはその住民たちにとって有益になるよう、再開発される。

3)もしイスラエルとハマスが合意した場合、イスラエルは直ちに作戦を停止し、徐々にガザから撤退する。

4)イスラエルが合意を公に受け入れた場合、その48時間以内に、人質は全員解放される。

5)人質が解放されると、イスラエルは、数百人のパレスチナ囚人(終身刑囚人)と、ガザ戦争勃発後に拘束したガザのパレスチナ人1000人を解放する。ガザのパレスチナ人数百人の遺体も解放する。

6)人質を解放したハマスには、恩赦が与えられ、ガザからの退去を希望する場合は、受け入れ国までの安全な通行を認める。

7)合意が成立すれば、1日に支援物資600台のトラックの搬入や、重要インフラの復旧、瓦礫の撤去機材の搬入を再開する。

8)支援物資は、ハマスと関係ない国連や赤十字社が配布する。

9)ガザは、パレスチナの技術系の人々からなる暫定政府が統治し、市民の生活のサービスを提供する。監督は、アメリカとアラブ諸国、欧州諸国が協議の上、設立する新たない国際期間が担う。この委員会が、パレスチナ自治政府(汚職まみれ)の改革が終まで、資金調達の枠組みを構築する。

10)中東における近代都市建設の経験ある専門家が、投資誘致や雇用創出を目的とした計画を作成する。

11)経済特区を設立し、参加国の間で、関税などの料金を引き下げる。

12)ガザから強制的な移住を求められることはない。出ることを決めた人も戻ることは可能とする。

13)ハマスは、ガザの統治に一切、関与しない。トンネルなど軍事インフラはすべて破壊する。新しいガザの指導者は、近隣諸国との平和共存を約束する。

14)ハマスとガザの他の組織は義務を遵守し、地域に安全を保障する。

15)アメリカは、アラブ諸国とその他の国際パートナーと協力し、ガザに展開する国際安定化部隊を編成し、国内帰還としてのパレスチナ警察部隊の育成と訓練を行う。

16)イスラエルはガザ地区を占領、または併合しない。イスラエル軍は、現在占領している部分を徐々に引き渡す。

17)ハマスがこの提案を拒否する場合、上記項目は、テロに同い地域ですすめられる。イスラエル軍は徐々に、国際安定化部隊に治安維持の役割を引き継いでいく。

18)イスラエルは今後、カタールへの攻撃は行わない。

19)住民の脱過激化を図るプロセスを確立する。

20)ガザの再開発が進み、自治政府の改革が実施できた場合、パレスチナ国家樹立への道筋になる可能性があるとする。しかし、いつその道筋ができるのかも含め、それを決定づけるものではない。

21)アメリカは、イスラエルとパレスチナの平和的共存に向けた対話を支えることとする。

www.timesofisrael.com/revealed-us-21-point-plan-for-ending-gaza-war-creating-pathway-to-palestinian-state/

イスラエルは受け入れるのか?ハマスは?

この21項目について、トランプ大統領は、まもなく合意に至るといつもの楽観を主張している。しかし、GCC諸国、アッバス議長も、何らかの変更を提案しているとの情報がある。

イスラエルでは、このまま戦争を続けても、人質を危険に追い込み、戦死者も増えるだけであり、仮に勝利を得た場合でも、国際社会からの孤立という、“敗北”が待っているだけだとして、停戦交渉に応じるようにと訴えるデモも起こっている。

しかし、右派系議員がこれを認めるとは考えにくい。ネタニヤフ首相は、本日、トランプ大統領とも会談することになっている。

エルサレムポストは、ネタニヤフ首相は、トランプ大統領をとるか、国内で、自身の立場を支えている右派議員を取るのか、歴史的な決断になると書いている。

www.jpost.com/israel-news/article-868776

石のひとりごと

この21項目。どうにもまとまりがなく、順番もバラバラな感じである。具体性や現実味がない項目もある。どうにも先が見えない感じである。今後、どうなるのか、注目しつつ、お伝えしていく。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。