目次
ガザ問題でイスラエルの孤立がいよいよ深まる中、ニューヨークでは、9月22日(月)から国連総会が行われている。
22日初日には、フランスとサウジアラビアが先導して、ガザ問題に関連してパレスチナ国家承認に関する議論が行われ、フランスはじめ、新たに10か国がパレスチナ国家承認を発表した事は、お伝えした通りである。
国連総会一般演説で相次ぐイスラエルとネタニヤフ首相非難
ネタニヤフ首相が登壇する2日前の24日(水)、カタールとヨルダンが、ネタニヤフ首相を戦争挑発であり、地域の脅威になっていると非難した。トルコのエルドアン大統領は、イスラエルはガザでジェノサイドを行っていると非難。「ネタニヤフ首相は、和平交渉や、人質解放には興味がないと非難した。
国連のグテーレス事務総長は、イスラエルが、アンバランスな集団懲罰を行っていると非難。基本的な人道を欠く行為だとして、「在任中の9年間で最も大きな死と破壊だ」と述べた。

パレスチナ自治政府アッバス議長(89)は、アメリカが入国を禁止したので、25日(木)オンラインで演説した。
アッバス議長は、イスラエルのガザでのジェノサイドを非難するとともに、ハマスによる10月7日の虐殺についても、これはパレスチナ人全員を表すものではなく、独立への運動とも無関係だと非難した。
ハマスやその他の組織は、パレスチナの国家を設立するために、武器を自治政府に引き渡さなければならないと述べた。
しかし、イスラエルは自治政府がガザを支配することは拒否しており、国際社会も、今のままの自治政府ではなく、大きな変革が必要であることは認めていることである。しかし、アッバス議長は、新たにパレスチナの国を承認した欧米諸国に感謝を表明した。
アッバス議長は、演説の中で、即刻の停戦や、飢餓を武器として使うことを辞めさせるなど9項目を強調した。
www.timesofisrael.com/in-un-speech-abbas-denounces-israeli-genocide-rejects-what-hamas-did-on-oct-7/
ネタニヤフ首相演説:ガザでも拡張機でライブ配信
こうした非常に厳しい雰囲気の中、ネタニヤフ首相は、26日(金)に登壇。約40分の講演を行った。演説に先立ち、反発を表現するためか、アラブ、イスラム諸国や欧州諸国の代表や外交官たちが、大勢ぞろぞろと会場からで出て行く様子が世界に流れることとなった。
ネタニヤフ首相はまず、イラン傀儡であるヒズボラのナスララ党首は死亡、シリアのアサド政権も崩壊、イエメンのフーシ派もかなりの打撃を与えたこと、またイランそのものへの核開発への打撃を与えたことを語った。
しかし、イランの核開発は終わったわけではないとして、イランへの制裁を再開しなければならないと訴えた。
*この翌日の27日(土)、国連安保理は、イランが核開発の監視に従わない動きが続いていたことから、2015年にイランとの核合意で解除していた制裁の再会を決め、28日に制裁は再発動した。これにより、イランは、ウランの濃縮活動停止や武器の取引も制限される。
ガザのハマスについては、10月7日の残虐な行為を世界は忘れているとして、再度訴えるとともに、ハマスは、何度でもこれを繰り返すと言っていると訴えた。また、パレスチナ人の90%が、10月7日を踊りながら賞賛していたと報告した。

ネタニヤフ首相はこの講演が、ガザにいるハマスや人質にも聞こえるよう、ガザ周囲に拡声器を設置して、ライブ配信を行なっていた。
このため、今も生きているとみられる人質の名前を全部あげ、まずはヘブライ語で、人質たちに救出を約束。英語に戻って、ハマス指導者たちに、ただちに武器を捨て、人質全員を解放するように訴えた。
ネタニヤフ首相は、国際社会が本来は、イスラエルを助けるべきところ、その逆を行っていると非難した。
10月7日の結果として、エルサレムから1マイルのところに、パレスチナの国を認めることは、9.11(アメリカ同時多発テロ)を行ったアルカイダに、ニューヨークから1マイルの地点に国を与えるようなものだと訴えた。
また、ベツレヘムの住民は、イスラエルが支配していたころは、80%がクリスチャンだったが、パレスチナ自治政府の支配になってからは、20%にまで減少したと述べ、イスラエルではなく、パレスチナを支援することは、キリスト教徒を殺した者に、褒美を与えることになると語った。
最後に、「イスラエルは、3000年にわたって、自分の国を持ち、軍を持ち、さまざまな発明を通して、世界の光となることを夢見てきた。10月7日、イスラエルの敵はその光を消そうとした。しかし、神の助けで、わたしたちは、素晴らしい将来と繁栄、平和を勝ちとるだろう。」と締めくくった。
国連外では数千人が反イスラエルデモ:ネタニヤフ首相演説中
ネタニヤフ首相が演説していた間、ニューヨーク市では、ネタニヤフ首相に反対するデモを行なっていた。ガザでジェノサイドをしているのに、(国際裁判所がある)ハーグではなく、ニューヨークにいるのはおかしいなどと言っていた。
アラブ諸国首脳たちの演説:厳しいイスラエル非難続く
ネタニヤフ首相に続く首脳たちの演説でも、ガザにおけるイスラエルの行動、それを導いているネタニヤフ首相への非難が相次いだ。エジプトのアブデラディ外相は、「中東が内部崩壊の危機に瀕していると警告し、その原因は、イスラエルによる理不尽な侵略にある」と述べた。
サウジアラビアのファイサル王子は、「飢餓、強制移住、組織的殺害など、占領軍による野蛮な行為が行われている。ガザにおけるパレスチナ人の苦しみは前例のない人道危機だ。」と非難した。
中東の首脳たちは、ユダヤ国家がガザで大量虐殺をしていると非難し、パレスチナの独立国家を求めると訴えた。
イランのハメネイ師は、ネタニヤフ首相演説の後、Xに「邪悪なシオニスト政権は、最も軽蔑され、孤立しているとアップした。
Today, the evil Zionist regime is the most despised and isolated regime in the world. pic.twitter.com/pWJBQSQBho
— Khamenei.ir (@khamenei_ir) September 27, 2025
また同じ頃、ベイルートでは、イスラエルに殺されたヒズボラのハッサン・ナスララ党首の死後1年を記念する行事が行われ、イスラエルへの敵意を表明していた。
Thousands in attendance for the one-year martyrdom anniversary held for Hezbollah leaders Sayyed Hassan Nasrallah and Hashem Safieddine. pic.twitter.com/lS02YCkEU7
— Tehran Times (@TehranTimes79) September 27, 2025
石のひとりごと
別項目で詳細をお伝えするが、ネタニヤフ首相がイランへの制裁復活を求めた翌日に、それが実現したことに驚かされた。いくら世界から孤立しても、主はやはり背後におられるのだろう。
世界はイスラエルを非難し、西岸地区とガザ地区にパレスチナの国を建てようと訴えている。それが実現可能かどうかは別として、次のみことばを思い出した。
見よ。わたしがユダとエルサレム回復させるその日、わたしはすべての国民を集め、彼らをヨシャパテの谷に連れ下り、わたしの国、民、わたしのゆずりイスラエルのために、そこで彼らをさばく。彼らはわたしの民を諸国の民の間に散らし、わたしの地を自分たちの間で分配したのだ。(ヨエル書3:1-2)
聖書によると、西岸地区とガザ地区は、いわゆるイスラエルへの約束の地に含まれている。現状にそれが、そのまま当てはまると主張しているわけではない。
しかし、いかんせん、その地域を人間たちが二国家に分けようとしているのが、今の世界である。それを訴えている人々や国々は、もしかしたら、将来、主の裁きにあうのではないだろうか。
大多数の意見が、いつも正解ではないということは、太平洋戦争でユダヤ人迫害を、国をあげて押し進めたドイツ、またその周辺の国々の歴史からも明らかである。
イスラエルは聖書の神が実在することを、その歴史を通して明らかにしている。イスラエルに敵対するイランなどの国々、イスラエルに非難する声を上げる人々や、世界のこの動きに、なにやら背筋が凍る思いもする。
