国際的に険しいニュースが続くイスラエルだが、スタートアップの国として、その技術力は、世界で求め続けられている。日本でもサイバーテックが、大阪(9月2日)、東京(9月4日)が行われたのに続いて、ヘルスケア・イノベーション・フォーラムが、東京と大阪(9月17、18日)で行われた。
1)サイバーテック
サイバーテックは、イスラエルのサイバー技術の紹介と投資家との出会いの場として、毎年世界各地で行われている。今年は東京だったが、大阪でも行われていたので、参加した。
tokyo.cybertechconference.com/ja
文字通り、サイバー攻撃への対処、AIなどがテーマとなっており、経産省が承認する中、大阪商工会議所、西日本イスラエル貿易事務所、駐日イスラエル大使館経済部が主催するイベントである。
興味深かったのは、イスラエルの元モサド長官で、著名なヨシ・コーヘン氏が、2021年から、ソフトバンクの投資ファンドの経営陣に加わっており、AIやサイバーテクノロジーの分野で、イスラエルとソフトバンクが深く関わっているとのことだった。
イスラエルのニール・バルカット経産相が登壇し、厳しい中東情勢にも言及。ヘブロンの主張が、パレスチナ自治政府とは関係なく、アブラハム合意に加わりたいと申し出たなど、パレスチナ人の中には、イスラエルとの協力を望む人もいると報告していた。
2)日本イスラエル・ヘルスケア・イノベーション
続いて、この2週間後の9月18日、医療産業都市がある神戸で、イスラエルの医療系スタートアップ社が来日してのヘルスケア・イノベーション・フォーラムが行われた。つまり、神戸市が関わっているということである。
セミナーでは、駐日イスラエル大使館のダニエル・コルバー経済公使が、イスラエルを紹介したが、2023年10月7日以降、イスラエルの人口は増え続け、1000万人を超えた他、GOPは史上最高となり、株も上がり続けているなど、戦争があっても、イスラエル経済は、成長しつづけていると報告した。
その背景にあるのが、スタートアップがさかんなイスラエルへの投資である。たとえば、2013年にGoogleが、Wazeを130億ドルで購入していた。日本からも、大企業からの投資が続いており、イスラエルと日本のコラボがすすんでいると報告した。
日本の病院システムでは、新しい技術を取り入れることは難しいと思われるが、参加していたスタートアップの会社の一部を紹介する。日本の高齢化と、人手不足を見据えたものもあった。
DGSENSE:おむつの濡れ具合はじめ、さまざまな健康データを家族のスマホに送るシステム。大規模に漏れる前に発見できるので、シーツ交換などの人手が少なくなる。
また、家族は外国にいても、高齢者のおむつの状態を確認できるので、介護職員に、伝えることも可能とのこと。この発想が面白いと思ったが、一つ2万円ぐらいになりそうなので、実用性はどうだろうか。
この他、医療用AIサポートシステムのアプリ。ケアマネージャーが、本人含め医師や、ケアに関わる人が入れるようになっている。何かあれば、そこからアドバイスを受けることができるようになる。
心理的ケアを必要とする人が利用できるAIによるアドバイザー、その他、婦人科系の技術を紹介している会社が数社あった。
日本からは、部屋にいる患者を顔やプライバシーを侵害することなく、何をしているかを監視するシステムが紹介されていた。
<石のひとりごと>
こうしたイベントの中にいると、日々追いかけている戦争のニュースや、反ユダヤ主義、反イスラエル主義はいったいなんなのだと思われるほど、別世界感だった。
結局のところ、人間は、政治や戦争とは別ラインで、ビジネスでは十分、イスラエルと付き合っているということである。
ここで一つ実感したことは、やはり、イスラエルという国は小さいが、非常にビッグだということ。この国を倒そうとか、無くそうとかいうことは愚かでしかないということである。それはすでにホロコーストでユダヤ人を殲滅しようとしたナチスが証明したことでもあった。
ここからも、私たちは、自分の理念や考えだけで、不用意にイスラエルに敵対することは、今一度考えた方がいいと思った。
