スペイン自転車レース最終日に10万人親パレスチナ暴力的デモで最終ステージ中止:デモを賞賛するスペインの外相 2025.9.15

Protesters block the road in an attempt to disrupt the twenty-first stage of the Spanish cycling race La Vuelta in Madrid on September 14, 2025. (AP/Manu Fernández)

スペイン首都マドリードで10万人が反イスラエル暴動:自転車レース最終日中止

9月14日(日)、マドリードで行われる予定だった、自転車レース、ブエルタ・ア・エスパーニャの最終ステージでは、親パレスチナデモが10万人規模となり、プラカードを掲げて、道路を封鎖するなどした。

1500人の警察が配備されていたが、たいへんな暴動になり、20人が逮捕される事態となった。

このため、最後のレースは中止とされた。選手たちは、マドリードに入る前、59キロ前でストップをかけられたとのこと。

スペインでは毎年9月に、ブエルタ・ア・エスパーニャと呼ばれる国際自転車競技が行われる。3週間かけて、3100キロメートルを、20前後のステージに分けて、自転車で走る国際競技である。

この競技に、イスラエルからもチームが参加していたが、スペインのアルバレス外相、スポーツ・教育相でもあるアレグリア報道官は、ガザでのジェノサイドの様相から、イスラエル選手は排斥するべきだと言っていた。

Team Israel-Premier Tech’s August 27, 2025. (Josep LAGO / AFP)

しかし、イスラエルのチーム、プレミア・テックは、それは危険な前例になるとして、撤退要求を拒否。イスラエルだとはわかりにくい、めだたないユニフォームにすることに同意して出場した。

しかし、イスラエルのチームが出ていたことに抗議して、あちこちで親パレスチナデモ隊と衝突が発生し、最後の10ステージのうち、6ステージは混乱で短縮されるなどになっていた。

しかし、イスラエルチームは怯まず、そのまま走行を続け、チームメンバーのマチュー・リッチテッロ選手(23)が、12日のレースで6位となり、最優秀若手ライダーに選出されていた。

スペインのサンチェス首相が暴動を称賛:国を上げてイスラエルを非難

(Borja Puig de la Bellacasa / LA MONCLOA / AFP)

しかし、異常事態は、この暴動をスペイン政府が称賛したことである。スペインのサンチェス首相は、「選手たちへの敬意を表しつつも、スペイン市民は今日、パレスチナなどにおける人権擁護で、一歩前に進み、世界の見本になった」とデモを称賛する声明を出した。

www.timesofisrael.com/anti-israel-protesters-block-final-stage-of-vuelta-after-drawing-spanish-pms-praise/

サンチェス首相は、先週、ガザにおいて、イスラエルが露骨な大量虐殺、ジェノサイドの脅威になっていると避難。「スペインは、核兵器を持っていないので、これを止めることができない」との声明を出し、問題になっていた。

ネタニヤフ首相は、これに対し、「スペインは、かつて異端審問やユダヤ人追放、またホロコーストにおける虐殺もまだ不足であるようだ」と嫌味の声明を返した。

このやりとりの後、スペインは、イスラエルに派遣している在イスラエル大使を召還した。

www.timesofisrael.com/israel-accuses-spanish-pm-of-issuing-blatant-genocidal-threat-after-nuke-comments/

なお、これに先立ち、サンチェス首相は、ガザでの大量虐殺を止め、その加害者を追求するっためとして、イスラエルからの武器輸入と、一部の輸入を禁止すると発表。また、極右のスモトリッチ財務相と、ベン・グビル国家安全保障相のイスラエル入国禁止を決めていた。

www.timesofisrael.com/spain-sanctions-israel-over-gaza-genocide-recalls-envoy-after-antisemitism-charge/

石のひとりごと

9月12日、フランスで20万人レベルの反政府デモが暴動になり、13日には、イギリスでも10万人級の反政府デモが発生。14日にスペインでこの様相である。

アメリカでもチャーリー・カーク氏が暗殺されて以来、国内の分断が大きく懸念されている。世界はいったいどうなっているのだろうか。

第二次世界大戦の時もそうだったが、イスラエル(ユダヤ人)に大きな被害が出る時には、世界の被害はそれ以上だったことを思い出す。大きな時代の変化に、心を備えなければと思う。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。