カオスに向かう?西岸地区:シンベトがパレスチナ自治政府崩壊の兆候指摘 2025.9.8

PA President Mahmoud Abbas speaks during the United Nations General Assembly (UNGA) at the United Nations headquarters in New York City, September 26, 2024. (Stephanie Keith / Getty Images via AFP)

国際社会が、パレスチナ自治政府を土台に、パレスチナ国家を承認する動きに出ているが、そのパレスチナ自治政府に崩壊の兆候があるとシンベト(国内諜報部)高官が、イスラエルの政治指導者に伝えたと、イスラエルのチャンネル12が報じた。

それによると、パレスチナ自治政府は今、経済的な問題に直面しており、治安要因に給料を払えていない。失業率も上がっているという。

イスラエル政府としては、自治政府の存続自体は有益だと見ているので、経済的な支援をするべきだとの声もある。

しかし、自治政府が、昔からの伝統でテロ行為をして死亡したり、逮捕された者の家族に補償金を払っていることから、代理で徴収している税金の送金を遅らせたり、止めたりもしていた。

特にこの5月からは、スモトリッチ財務省が、この代理徴収している税金の送金を完全に停止させたことから、5月だけで9億シェケル(2億7000万ドル)のマイナスになっている。

この措置は、イギリスが、強硬右派のスモトリッチ氏と、ベン・グヴィル氏への制裁を発動したことで、その反撃として、実施していた。スモトリッチ氏ら二人については、ベルギーの外相が、ヨーロッパでの移動を可能にしているシェンゲン協定から外すことを検討していると表明している。

www.timesofisrael.com/shin-bet-said-to-warn-pa-at-risk-of-collapse-netanyahu-holds-discussion-on-west-bank/

パレスチナ自治政府が崩壊したら、まさにカオスになると思われるが、その混乱の中で、イスラエル軍が入って、事実上の併合になってしまう可能性も出てくるだろうか。。

なお、西岸地区には300万人以上のパレスチナ人と、50万人以上のイスラエル人(ユダヤ人)がいる。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。