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イスラエルの学校で新学期開始
イスラエルでは今日9月1日(月)、全国で258万7000人の子供たちが新学年を迎える。
このうち、ユダヤ教系学校で学ぶ子供は58万2000人、アラブ系学校では57万9000人。これ以外に天才児特別学校には2万4000人、超天才児教育学校には1万8000人で、それ以外の約138万人は、普通の世俗派系の学校ということになる。
今年は、北部でヒズボラの攻撃を受けて他地域へ避難している子供たちや、ガザ周辺でハマスの襲撃を受けた地域に戻って、学校生活を再開する子供たちもいるという。
全国に幼稚園は2万1600か所、小学校は5807か所。保育士、教師などのスタッフは24万8000人だが、Ynetによると教師不足が問題で、不足を補うために補充した12000人は正式な訓練や資格を欠いているとのこと。
増加するユダヤ教系学校への入学者数
統計によると、今年18万600人が新一年生だが、このうち6万6185人が普通の世俗派系公立学校、2万9470人が国立のユダヤ教系の学校、4万2751人がユダヤ教超正統派の学校となっている。
ユダヤ教系の学校へ進む子供の数は、2年連続で増加傾向しており、今年は、世俗派学校に進む子供たちより、約6000人多かった。この逆転はイスラエル史上初とのこと。
しかし、この傾向は過去25年の間進んでいたことだった。Times of Israelによると、2000年のデータでは、世俗派公立学校への1年生入学者の61%だったが、今年は48%にまで減っていた。一方、国立ユダヤ教系学校入学者は、20%から21%へ、超正統派学校入学者は20%から31%へと増加していた。
その背景にあるのは、2023年から2024年にかけて、政府の司法制度改革や、ガザでの戦争などに反発する世俗派たち8万2000人がイスラエルを去っており、帰ってきた人は2万4000人。中央統計局によると、この間の新移民3万人を足しても2万9000人の世俗派がいなくなっていた。
出生率の問題もある。世俗派の平均は2人から3人だが、ユダヤ教系では、6人というのも珍しくない。当然、ここからも新1年生の数の割合に影響は出てくる。
専門家によると、新1年生数の逆転は、来年も続くとみられており、イスラエル社会全体が、ユダヤ教に傾く傾向にあることは否定できないと語っている。
*イスラエルにはこの他は、1万1418人がベドウィンの学校、2702人がドルーズの学校、2万6975人がアラブ系の学校に通っている。
www.ynetnews.com/article/bjrhnxg9gx
ユダヤ教系学生が増えることの課題も
イスラエルの次世代がより、ユダヤ教系になっていくことへの懸念は、社会で働かない人、従軍を拒否することが増える点である。
また世俗派の学校で学ぶ数学、科学や、一般的に読むとされる書物の読書もユダヤ教系の学校では学ばない。国際的な資格試験も受けない。このため、イスラエルは世界有数の天才やIT技術者を生み出す中、学習という視点では、先進国OECDの中で、36カ国中31位である。(日本は韓国に次いで2位)
