EUとイギリス・日本24カ国がガザでの飢餓を止めるよう共同声明:飢餓はハマスが意図的に誇張とイスラエル反論 2025

EU加盟国と日本も含む24カ国がガザ飢餓への危機感と緊急行動を要求

8月12日(火)、EU加盟国17カ国とイギリス、オーストラリア、カナダと日本を含む24カ国の外交官や外相たちが、ガザの人道的苦しみは想像を絶するとして、飢餓を食い止めるための緊急行動が必要だとの声明を発表。署名した。

具体的には、イスラエルに対し、すべての国際NGOの援助物資輸送を許可し、人道支援活動を制限しないようにと要求した。

ただ、先週、ネタニヤフ首相が、ガザ占領方針を表明したことを受けて、イスラエルへの武器供与を停止すると発表したドイツは、この声明には参加していなかった。

www.timesofisrael.com/eu-and-24-nations-including-uk-japan-urge-action-against-famine-unfolding-in-gaza/

*国際社会がガザに飢餓状態と認める理由

国際社会が今、これほどイスラエルに厳しくなっているのは、ガザが飢餓状態にあるとの報告が、正式な国連からの声明として出されているからである。

国連に認められているIPC(Integrated Food Security Phase Classification総合的食糧安全保障段階分類)は、7月29日の時点で、ガザ地区の飢饉は最悪の状況に向かっていると、最高レベルの警告を発表していた。

しかし、これは、IPCがガザで独自の調査を行ったわけではなく、ガザ保健省(ハマス)やガザ内部から発信されるデータや写真などからの判断である。

最高レベルの次は、飢餓宣言が出されることになる。しかし、そのためには、実際にガザに入ってのデータ(少なくとも20%の世帯が極度の食糧不足、生後6ヶ月から5歳までの子供の30%が急性栄養失調など)が必要となる。IPCは、そこに限りなく近づいていると発表したのである。

それからすでに2週間以上が経過していることから、国際社会の危機感とイスラエルへの非難が急速に高まっているということである。

www.timesofisrael.com/experts-say-gaza-at-worst-case-scenario-famine-about-to-cause-widespread-death/

ハマスが意図的にガザの飢餓を利用とイスラエル反論

EUなど24カ国が、このような宣言を出すのは、妙なことである。イスラエルは、現在、ガザへの物資の搬入の搬入はすすめている。特に7月にIPCの指摘が出てからは、ガザへの物資搬入を加速させている。

Palestinians ride on a truck loaded with food and humanitarian aid as it moves along the Morag corridor near Rafah, in the southern Gaza Strip, August 4, 2025. (AP/ Mariam Dagga)

現場での問題は、検問所からガザ各地へ搬送する国連組織が機能していないために、食糧が配布されないまま、そこで腐っていることなのである。

イスラエル軍のCOGAT(軍政政府活動担当)は、8月12日(火)、独自の治安関係者と医療専門家が、ハマスが栄養失調者数として出している数字が実際のものかどうかを検証した結果、誇張した数字だったと発表。

ハマスが、イスラエルへの非難を掻き立てるために、意図的にガザを飢餓状態に見せかけようとしていると反論した。

COGATによると、ガザ保健省(ハマス)は、今年6月までに、飢餓の疑いで死亡した人は、名前とともに66人と発表していた。ところが、その翌月には、同様の死者は133人と一気に倍増させていた。

また、ハマスは7月19日に18人、22日には15人が餓死で死亡と発表していたが、これを証明できる、たとえば病院等は存在していなかった。また、6月までは、餓死したとされる人の名前が報告されていたのに、この時は、死者の名前は発表されていなかった。

また、以前にも発表されていたが、餓死したとされる子供たちの劇的な写真について、多くは遺伝性の既往症があり、神経系の疾病があるなど、栄養失調だけが原因でそういう姿になったのではないことも証明した。

ハマスは、数字を誇張し、劇的な写真を使って、意図的にイスラエルを国際社会から孤立させようとしていると主張した。

www.timesofisrael.com/israel-says-review-shows-hamas-inflating-gaza-hunger-data-in-orchestrated-campaign/?utm_campaign=most_popular&utm_source=website&utm_medium=article_end&utm_content=2

しかし、イスラエルの反論が、世界に受け入れられる様子はほとんどない。

石のひとりごと

ガザの問題について、イスラエルだけが非難され、恐ろしいテロ組織であるハマスが責められないという、なんとも不条理な様相である。

最近、10月7日にハマスに拉致されたあげく、殺されたビバスさん母子の写真が出ていた。

国際社会は、ガザの悲惨ばかりに目を止め、イスラエル人を襲った悪魔的なまでのハマスの犯罪については、ほとんど見えていないかのようである。

この異常なまでの不条理から、昨今言われている現代版「血の中傷」と言われているのである。

日本は徐々に、イスラエル非難へ回り始めている。しかし、別記事で取り上げたように、イスラエルは実はガザでの支援活動にも関係していたという。この国は、ある小さい国ではない。

2000年経って、同じ場所に再建しているイスラエルを見ればわかるように、この国を非難する側に回ることは、決して賢明なことではないと思う。日本政府がこれから愚かな側に流れて行かないようにと願うばかりである。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。