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ガザの人道状況・サバイバルの日々:Times of Israelがガザ市民電話取材
ガザに住むごく一般の人々は今どうしているのだろうか。日本では、非常に厳しい暑さに見舞われているが、それは、世界でも同じである。ガザ地区も非常な暑さの中、人々はエアコンどころか、飲み水もない中でサバイバルしている。

Times of Israelが、ガザの市民と電話で話をしたという記事を出していた。ガザは崩壊状態にあるが、携帯電話は、地元通信会社がインフラをなんとか継続させているという。
一時戦闘で破壊されたが、イスラエルの協力で地元会社がこれを修復したこともあったとのこと。
この記事によると、ガザには、テント生活をしている、いかにも避難民人だけでなく、なんとか攻撃を免れたようなアパートに住んで、少しは資金を持って生活している人もいるようである。
アナス・アラファトさんは、ガザで元弁護士、3児の父親で、現在、ガザ市北西部の友人のアパートを借りて住んでいる。アラファトさんは、食料、水、携帯用の電力を購入しながら生活している。しかし、物資がいつでも購入できることはなく、サバイバルに必要なものを探す毎日だという。
特に水が問題である。ガザはイスラエルから水を購入していたが、2023年のハマスの襲撃の後、11月に、イスラエルはこれを停止した。ガザでは、海水の淡水化などでなんとかしていたが、2025年3月からは電力も停止されたため、海水の淡水化も止まることになった。
しかし、これまでの攻撃で、井戸もほとんどが破壊されている。ガザ市民は、水を配給に頼らなければならなくなっている。アラファトさんは、5人家族のために1日あたり10シェケル(420円)で飲み水を購入しているとのこと。
また、トイレやシャワーのために、4日ごとに民間の販売者にタンクに水を充填してもらうのだが、毎回100シェケル(約4500円)かかる。シャワーは週に1回でぜいたくといえるとのこと。

食べ物については、ガザ市で、アラファトさんのように、アパートに住むことができている人々の地域には、マーケットがあるという。
しかし、支援トラックの到着状況によっては値段が変わる。小麦粉は1キロ40-50シェケル(2000円ぐらい)だが、150-200シェケル(1万円ぐらい)になる時もある。安い時に買い置きするという。
ガザ市で10人家族の父親であるモウリン・ヒルさんは、今は24時間にピタパン1枚がいいところで、この3、4ヶ月きちんとした食事はできていないという。恵まれた環境にあるアラファトさん、ヒルさん家でさえ、1日に3食を維持できておらず、毎日空腹で寝ているとのこと。
しかし、それ以外の人々は食料を買う資金がなく、料理するすべもないので、国際的な食料キッチンに頼るしかない。

現在、WCK(ワールド・セントラル・キッチン)がガザで活躍しているが、8月1日現在で、物資搬入があった場合で、1日に9万食を提供している。
しかし、必要をかなり下回っているとのことで、これに頼っている人々の中から餓死者が出ている可能性が高い。
www.timesofisrael.com/for-gazas-residents-daily-life-a-sisyphean-struggle-for-simplest-necessities/
*イスラエルはガザ市の住民を移動させる計画を発表した。この記事に出ている、アラファトさんもヒルさんもまもなく移動を命じられる可能性が高い。
ハマス関係者優遇に市民から不満も
BBCは先月25日、ハマスが3万人に職員に、合計700万ドル(約10億円・1人3万5000円)の給料を支払うことに成功したと報じた。
この金をどこから調達したのかは不明だが、ハマスの金融関係者がBBCに語ったところによると、2023年10月7日以前に、地下トンネルに7億ドルと数億シェケルを備蓄していたので、そこからの出費の可能性もある。
先週、メンバーに支払われたのは、1人300ドルだが、これは通常の給料の20%ぐらいだという。しかし、ハマス関係者は給料の他に、食糧の特別配給を受けている様子が目撃されていた。
イスラエルはハマスが、無料で搬入されている食料や物資をハマスが横領して金に変えていると訴えている。ハマスはこれを否定しているが、ハマスの手にかなりの量の物資があること疑わざるをえない状況である。
5年前に夫を亡くして、3人の子供を育てる未亡人、ニスリート・カレドさんが、「我々が苦しんでいる時に、ハマス関係者の隣人が、食料を受け取るのを見て、泣いてしまった」とBBCに語った。
ハマスは、10月7日の攻撃を開始する前に、なぜもっと食料や医薬品を確保しなかったのか。ハマスこそが、ガザ市民の苦しみの源ではないかとも言っていたとのこと。
www.bbc.com/news/articles/c1kz42j92jmo
GHFが食料配布拡大を計画中:国連との協力に向けた交渉は挫折
ガザ地区では、GHF(米ガザ人道団体)がこれまでに、170万食を配布したと主張している。しかし、配布した食糧は、炭水化物系がほとんどで、火を起こして料理しなければならないものばかりだと批判も出ている。ガザ市民は、上記アラファトさんたちを含め、料理するインフラも燃料もない人がほとんどだからである。
www.bbc.com/news/articles/cd787er1qz4o
また、イスラエルは、先月末ぐらいから、空からの配布や、トラックによる搬送も再開させたが、結局、ハマスが横領し、金に変えている。ガザの食料事情はまだ改善する様子はない。
トランプ大統領はこれに危機感を表明している。ハッカビー米大使によると、アメリカは、GHFの活動の拡大を計画しており、配布センターを増やす他、現在、1日数時間しか稼働していない中、24時間稼働を計画しているとのこと。
また、8月6日(水)、GHFのCEOジョニー・ムーア氏を含む担当者たちは、ニューヨークで、UNICEF(国際連合児童基金)、WFP(世界食料機構)など国連の人道支援団体と、ガザへの支援で協力できないか、初めてとなる会談を行った。
具体的な結論を出すことができなかったが、メディア上、互いに批判することは控えようということにはなったという。
イスラエルの極右勢力:ヨルダンからガザへの物資搬入を一時阻止
ガザでの食料事情が、世界的な問題になっている中、イスラエルの極右政治家たちは、ガザと西岸地区は、イスラエルのものであり、併合すべきだとの強気発言を辞さない様相にある。
ネタニヤフ首相は、ガザを占領する計画の中で、食糧の搬入も盛り込んでいるが、スモトリッチ氏など極右政治家たちは、ガザ占領には合意するとしながらも、その後に、ガザ市民への物資搬入拡大することに反対を表明。それなら、ザミール参謀総長の包囲案の方がましだとまで言っていた。
8月7日夜、西岸地区とヨルダンの接点、アレンビーブリッジでは、極右宗教派のイスラエル人たちが、ヨルダンから、ガザ地区へ向かおうとする物資のトラックが、イスラエルへ入ることを3時間半ほど妨害する様子が伝えられていた。女性たちもおり、「イスラエルの民はここにいる」などと叫んでいた。
2:30 חוסמים את כניסת משאיות סיוע לחמאס.
מפני שזה החמצן של החמאס בלחימה נגד חיילנו pic.twitter.com/CjGwm4VjZ2— מירב חגאג (@meravhgag) August 7, 2025
石のひとりごと

ガザの人々の今の苦しみは、自然災害ではなく、100%人間による災害である。
2007年からハマスに支配下にあるガザ地区。ハマスは、夏の子供キャンプで、子供たちにイスラエルとの戦いを教え、人々にイスラエルを憎む文化を拡大してきた。
その結果が今のこの人罪による大災害といえる。
イスラエルと世界はなんとかしようとしているが、解決は見えない。
人質を取られているイスラエルは、いよいよガザを支配するしかないというところにまで来ている。
まさに神の前に、人間の罪の結果が積み上げられているようである。その結果を主が愛されている小さな子供たちもが背負わされている。
どうしたらいいのか。この状態に対するとりなしには、ダニエルの祈りの文言を思い出すところである。(ダニエルの祈りはイスラエルの民のためである。ここでは、その文脈を離れて、文言だけをとりあげてという意味)
私たちが御前に伏して願いをささげるのは、私たちの正しい行いによるのではなく、あなたの大いなるあわれみによるのです。主よ。聞いてください。主よ。お赦しください。主よ。心に留めて行ってください。(ダニエル9:18より)
