イスラエル兵自殺者増加の波警告:予備役兵入隊基準見直しへ 2025.8.1

Troops operate in Khan Younis in a photo released by the IDF on June 3, 2025. (IDF Spokesperson)

イスラエルでは、7月5日にも予備役兵のダニエル・エデリさんが自殺。その後数日の間に、南部基地で1人、北部基地でも1人が遺体として発見された。

7月15日には、ノルウェーから家族と離れてローン・ソルジャーとして、空挺部隊に従軍していたダン・フィリップ伍長が死亡。自殺と見られていた。

www.timesofisrael.com/idf-lone-soldier-from-norway-dies-from-gunshot-wounds-in-apparent-suicide/

7月27日(日)、アリエル・メイール・タマン軍曹が、自宅で死亡しているのが発見された。

アリエルさんは、軍のラビ局で従軍し、10月7日の犠牲者の遺体に関わる任務を担当していた。自殺が疑われている。妻と4人の子供が後に残された。

www.timesofisrael.com/reservist-who-identified-bodies-after-oct-7-found-dead-in-suspected-suicide/

続いて30日(水)、予備役兵として招集され、ガザで300日以上従軍し、5月下旬に帰国していたロイ・ワッサースタインさん(24)が自殺した。

ロイさんは、衛生兵として、砲火の中、負傷兵や戦死者を保護する働きを担っていたという。

イスラエル兵の自殺は、2023年10月7日からその年末までに、現役兵士7人、2024年は21人。2025年は、これまでに少なくとも17人が自殺したとみられている。今後、自殺の波になるのではないかとの懸念が出ている。

イスラエルでは、日常生活の30%が失われる障害がある人は従軍を免除される。しかし精神的な障害の場合、記録不足から、PTSDがあっても徴兵されるケースもあり、配慮が不十分ではないかとの指摘が出ていた。

この5月、軍は、深刻な人手不足から、この点に取り組むことを避けてきたことを認めたと報じられていた。以後、イスラエル軍は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を含む精神的障害を追った予備役兵の入隊資格を見直す作業を開始した。

新しい基準によると、緊急招集命令を受けた予備役兵は、3日以内に精神状況の評価を受けることが義務付けられている。招集されていない予備役兵は、専門家による評価を受け、従軍できるかどうかを決定することになる。

ある男性は、400日従軍し、また戦地へ向かっている途中に、急に従軍の中止を指示されたという。

www.timesofisrael.com/idf-to-begin-discharging-traumatized-reservists-amid-growing-mental-health-concerns/

このほか、自殺で死亡した兵士の扱いについても見直しが進められた。7月30日に自殺したロイさんは、現役での戦死ではないため、戦死者としての葬儀をしてもらうことができなかった。

遺族はこれに強く反発。ザミール参謀総長は、死亡が戦闘との強い関係が認められる場合は、戦死者と認める法案を作成するよう指示したとのこと。

www.timesofisrael.com/reservist-medic-dies-by-suicide-prompting-idf-to-reassess-casualty-recognition/

石のひとりごと

イスラエル人の自殺は、少なくとも日本に比べたら、相当少なかった。イスラエル人が自殺するということは、その心的外傷は相当なものだと思う。戦争は早く終わらなければならない。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。