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シリア南部スウェイダでの戦闘終わらず
シリア南部スウェイダでは、7月13日(日)からドルーズとベドウィンの紛争が続いたため、シリア政府軍が介入。イスラエルは、イスラエル在住のドルーズたちの要請を受け、スウェイダの政府軍を攻撃した上、ダマスカスも攻撃して政府軍を撤退に追い込んだ。紛争5日後に、ドルーズと政府軍が停戦で合意し、政府軍は撤退して行った。
しかし、停戦後もドルーズとベドウィンの戦闘は続いている。ベドウィンは、停戦はドルーズと政府軍の間のことで、我々には関係ないと言っている。シリア国営放送は、イスラエルの攻撃も報告している。
シリア人権監視団(英国)によると、これまでの死者は、500人以上で、このうち、79人がドルーズ戦闘員。154人がドルーズ市民(このうち83人は処刑)となっている。政府軍は243人。ドルーズは18人。
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ネタニヤフ首相は、シリアは、イスラエル国境に近い、ダマスカス南部地域の非武装化と、ドルーズ族の保護という2つのレッドラインを破ったと主張。イスラエルが介入して、政府軍を撤退させたと語った。
またイスラエルは今後も、力で平穏を維持すると述べ、今後も必要なら武力を使うと警告した。以下はそのコメントと、イスラエルが攻撃したダマスカスの様子。
この状況について、シリアのアル・シャラア大統領は、イスラエルが混乱を引き起こしたと非難していた。停戦後も続くドルーズとベドウィンの紛争については、ドルーズを非難している。
最新ニュースでは、イスラエルは、スウェイダのドルーズに支援物資を届けると言っている。
一方、シャラア大統領は、ドルーズが停戦合意を破ったとして、再度、スウェイダに治安部隊を送り込む動きに出ている。イスラエルとシリアの衝突にならないか懸念される。
今もシリア国境に集まるドルーズたち
7月13日(日)にシリア南部スウェイダでドルーズ族と、ベドウィンの紛争となり、沈静にむけてシリア暫定政府軍がやってきたことで、イスラエルにいるドルーズたちは震え上がった。
シリア暫定政権がイスラムではない少数派を殲滅する可能性があったからである。実際、シリア暫定政府軍は、主にドルーズ族を攻撃し、処刑された人もいたのである。
この間、イスラエルとシリアの国境では、イスラエル在住のドルーズ族1000人が国境に集まり、国境を超えてシリア側へなだれこんでいった。この混乱を機会と捉えて、長年会えていない親族に会い、救出しようと、シリアへ走ったのである。
ドルーズ族(約100万人)は、20世紀に続いた中東戦争で、イスラエル、シリア、レバノンが成立する中、家族親族がそれぞれの地に分断され、会えなくなっている。そうした中、シリアが、新しいイスラム政権(アルカイダ、イスラム国との関係の可能性も払拭できず)になり、イスラム以外の少数民族が、今年4月、5月にも報告されていた。
自国民ドルーズたちの要請を受け、イスラエル軍は、スウェイダのシリア政府軍を攻撃。続いて、ダマスカスへの空爆も実施した。この時にイスラエルからシリアに入ったドルーズ族(イスラエル国籍)数十人を、連れ戻した。しかし、まだ残っている人もいる。戻ってきたドルーズたちは、シリア暫定政府軍は、ドルーズを虐殺しようとしたと言っている。
一方、この混乱の中、シリアからイスラエル側へ入ったドルーズもいた。イスラエルは数人のシリア・ドルーズをシリアへ送り返したが、どのぐらいがイスラエルに入ったかは不明とのこと。
現在も、スウェイダでは紛争が続いている中、イスラエルとシリア国境には、再びドルーズたちが集まってきている。
石のひとりごと
イスラエルはもう十分以上の敵を抱えているのに、シリアでまた戦場を増やしているような流れである。とはいえ、一概にイスラエルが悪いとは言いきれない。
今のシリア政権は悪か善か??イスラエルが性善説で動くことは絶対にないので、最悪に備えて、シリア南部は非武装化しようとしているのである。
しかし、イスラエルをとりまく状況は、ますます深い穴に入っていくようで、いったい、どこまでいくのかと気が重くなる日々である。
そうした中、ドルーズたちの家族親族、同胞への想いは、何十年離れていても変わっていない。個人主義、家族崩壊の日本の社会では考えられないことで、なんとなく新鮮に感じた。
