激動の6月24日イスラエルとイランの停戦発効:イスラエルでは学校、空港も再開へ 2025.6.25

Travelers walk with their luggage following the announcement of a ceasefire between Israel and Iran, at Ben Gurion International Airport, near Tel Aviv, Israel, June 25, 2025. (AP Photo/Ohad Zwigenberg)

24日(火)07:00イスラエルとイラン停戦発効:その前後の混乱

6月24日(火)午前1時すぎ、トランプ大統領が、イスラエルとイランが停戦に合意したと発表。午前7時に停戦が発効になると発表した。

その直後にイスラエルは、テヘランで、特に現政権の権威に関わるような軍事施設などへの攻撃、また核施設フォルドーへの攻撃も行った。

Beersheba is seen after being struck by an Iranian ballistic missile, July 24, 2025.

すると、午前5時ごろ、イランがイスラエルに弾道ミサイルを断続的に発射。べエルシェバに着弾して、イスラエル人4人が死亡。22人が負傷するという甚大な被害となった。

その後、午前7時を迎える。トランプ大統領は、「停戦が発効となった。破らないように」とのコメントを発した。

しかし、その直前の6:56にイランからドローン2機が発射され、イスラエル軍が迎撃した。続いて7:06、10:25にも、イランから1〜3発の弾道ミサイルが発射され、イスラエル国内でサイレンが鳴った。いずれも迎撃して、被害はなかった。

これを受けて、イスラエルは、イランが停戦合意に違反したとして、反撃準備を開始。報道によると、テヘランの政権関連施設15か所を標的にした攻撃を行う計画だった。

イスラエルのTVチャンネル12によると、この時にトランプ大統領がネタニヤフ首相に電話で、イランへの攻撃を直ちに中止するように伝えた。

イスラエル軍戦闘機はすでにイラン上空に達していたが、政治的な理由でとのことで、攻撃したのは、レーダーシステムだけにとどめて帰還した。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/israel-reportedly-planned-to-strike-15-key-regime-targets-when-trump-told-netanyahu-not-to-respond-to-iran-missiles-this-morning/

トランプ大統領がイスラエルに激怒:首相府は時系列を説明

停戦に合意したのに、まだ攻撃の応酬を続けようとするイランとイスラエルに対し、トランプ大統領は、「両国は何をしているのか全然わかってない」と非難した。

しかし、トランプ大統領は、特に、イスラエルに対しては、腹を立てていると述べた。停戦に合意したと言っておきながら、停戦が発効するやいなや、イランに爆弾を落とそうとした。(もしトランプ大統領が止めなかったら、戦争が再開になっていた可能性が高い)

「イスラエルは、イランがミサイルを発射したからその反撃だと言った。ミサイルは発射されたかもしれないが、着弾していなかったし、ミスだった可能性もある。それなのに、早速イランへの攻撃をしようとした。特にイスラエルに腹を立てている」と記者に向かって激怒を隠さなかった。

またさらに立腹していたのは、前トランプ大統領顧問のスティーブ・バノン氏である。バノン氏は、「アメリカに協力してもらいながら、それを全部無駄にする気だった。全く嘘つきだ。我々は何度もネタニヤフ首相に嘘をつかれてきたのだ」と怒りをぶちまけた。

バノン氏はさらに、イスラエルを愛すると言っている人々は、言い訳をさがすのではなく、本当に厳しい問いかけをするべきなのだとまで言った。

この後、トランプ大統領は、ネタニヤフ首相に電話をかけ、アメリカが仲介した停戦なのだから、イランが違反しても報復は絶対にしないよう、断固とした言葉で警告したとのこと。*報復はアメリカがする

トランプ大統領の激怒に対し、ネタニヤフ首相官邸は、停戦発表からのイラン攻撃のタイムラインを表明。

停戦発表の後(発効前)、イスラエルはテヘランの政権軍関連地点への大規模な攻撃を行い、イランもミサイルを多数発射して、イスラエル人4人が死亡したという経緯があったと述べた。トランプ大統領は、このイスラエル人4人の死亡には触れていなかったからである。

その後、停戦が発効した後の7:06、10:25にイランからのミサイルがあり、迎撃したと説明した。

しかし、トランプ大統領としては、今は停戦を完成させることが最重要なので、いかに正論であったとしても、今はとにかく、イランへの攻撃は、避けるべきだったと考えているということである。

www.timesofisrael.com/netanyahu-claims-historic-victory-says-we-sent-irans-nuclear-program-down-the-drain/

このように、昨日24日(火)は本当に激動の1日だった。25日朝7時(日本時間13時)、停戦発効から24時間が経過したが、イランからのミサイル発射はない。したがって、イスラエルからの攻撃も発生していない。

イスラエル国内で学校再開・ベン・グリオン空港も全面再開へ

停戦が発効したことを受けて、イスラエルは、市民への警戒レベルを下げた。24日(火)夜の時点で、イランへの攻撃が始まった6月13日以来、12日間、閉鎖となっていた学校を、本日25日(水)から再開させることを決めた。

しかし、被害を受けた地域では、地方自治体が主体となって、学校再開をすすめるようになるとしている。また、上限30人までとしていた集会の制限も撤廃された。

www.timesofisrael.com/schools-may-reopen-wednesday-for-first-time-in-nearly-2-weeks-if-ceasefire-holds/

また閉鎖になっていた、ベン・グリオン空港も、24日(火)の時点で、全面的に再開された。エルアルがまず運行を全面的に再開。空港は24時間稼働する。

離着陸数の制限もその最の登場人数制限もすべて撤廃されている。外国で足止めになっているイスラエル人が10万から15万とも言われる中、24日には、すでに24便が着陸。1900人のイスラエル人が帰国した。

海外便も6社、(flydubai, Etihad Airways, Blue Bird, TUS Airways, Red Wings, Ethiopian Airlines)が発着の申し入れをしている。しかし、それ以外の会社は、まだ安全性を鑑みて、復帰までにはもう少し時間がかかると予測されている。

www.timesofisrael.com/israel-reopens-skies-for-air-travel-returns-international-airport-to-full-operation/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。