イスラエルとイランが停戦合意とトランプ大統領発表:6時間後(日本時間13時)に発動と 2025.6.24

US President Donald Trump walks on the South Lawn upon arriving at the White House, Saturday, June 21, 2025, in Washington. (AP Photo/Jose Luis Magana)

トランプ大統領がイスラエルとイランが停戦合意と発表

6月24日、イスラエルの01時過ぎ(日本時間07時過ぎ)、トランプ大統領が、SNSにて、イスラエルとイランが、完全な停戦に合意したと発表した。

それによると、停戦は、6時間後(日本時間午後13時)に発動となり、24時間後(日本時間午後19時)に完全停戦が確認されたら、その時点で、13日間の戦争が正式に終了することになる。

アメリカはイスラエルとは連絡を取り合っていたが、イランとは、カタールを通じて、ウィトコフ特使やバンス副大統領が、間接的、直接的にも交渉を続けており、結果、両者を停戦合意にまで導いたとのことである。しかし、合意内容の詳細は、まだ明らかにはされていない。

www.timesofisrael.com/liveblog-june-23-2025/

この発表に先立ち、イランは、カタールにいる米軍へのミサイル攻撃を行っていた。

しかし、イランは、カタールを通じて、攻撃の前に、アメリカに知らせていた。ミサイルのほとんどは迎撃でき、米軍には、物的被害も死傷者も出なかった。

トランプ大統領は、これを象徴的な攻撃だったと見て、イランに感謝を述べ、世界には、「おめでとう。平和が来た」と言っていた。

この発表が出た後、ホルムズ海峡封鎖の懸念が遠のいたと安堵感が広がり、すぐに、原油価格が7%も急落した。

www.timesofisrael.com/trump-says-israel-and-iran-agreed-to-complete-and-total-ceasefire-ending-12-day-war/

しかし、今後、停戦が本当に発動するのかどうかは、まだこれからである。実際、この発表以後にもイスラエルとイランの間には攻撃の応酬も発生している。

イランの反応:合意したわけではない「イスラエルが攻撃止めるならこちらも。停戦はそれから」

この発表が出たあと、イラン政府筋からは、合意したことを認めたとの情報が出たが、IRGCは、認めていないと発表した。

Iranian Foreign Minister Abbas Araghchi (AFP file)

その後24日(火)朝4時すぎ(トランプ大統領の停戦発表から3時間後)の時点で、イランのアラグチ外相が、Xに、次のように書き込んだ。

「今のところはまだ停戦合意はない。しかし、もし4時以降にイスラエルが攻撃しないなら、こちらも反撃はしないとは伝えた。最終的な停戦の判断はその後になる。」

イランが、先にイスラエルが攻撃を止めるのが条件だというのは。初めてのことではない。しかし、時間を区切ったことは今回が初めてだった。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/iranian-foreign-minister-says-no-final-ceasefire-agreement/

イスラエルの反応:最後まで攻撃続行

Ynetによると、イスラエル当局は、イランの停戦合意について、カタールが仲介したことを確認。イランは、停戦するなら、即時の停戦を求めていたとのこと。イスラエルが非常に激しい攻撃をしていたためである。

しかし、イスラエルは、まだ少し戦略的な地点への攻撃を続けたかったためか、即時ではなく、6時間後ならと言ったとのこと。

結局トランプ大統領は停戦発効を、発表の6時間後の午前7時(日本時間午前11時)と発表したのである。これに対し、イランは、午前4時(日本時間午前10時)までと、中間案を出した形である。

いずれにしても、イスラエルは、トランプ大統領が停戦合意の直後をした直後に、テヘランの特定の地域に避難警告を出し、攻撃を実施した。さらにその後にも同様の攻撃を行った。

しかし、いずれの攻撃もアラグチ外相が提示した期限、午前4時以前のことであった。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/idf-issues-another-evacuation-warning-for-parts-of-tehran/

*イスラエルではシェルターで生活する人も

この間、イランからもドローンが、イスラエル領内に入ったことからサイレンが鳴ったが、迎撃したか、問題にはならなかった。シェルターにいるイスラエル市民に対する警告は最大限のまま維持しているとのこと。

以下は、もはや自宅に戻らず、地下鉄のシェルターでテント生活している、数千人のテルアビブの人々の様子。

イスラエルはおおむね目標達成か:これからイランはどうなる?

ネタニヤフ首相が昨日言っていたように、イスラエルは、目標達成に近づいているとみられている。

停戦をすすめているアメリカのバンス副大統領も、イスラエルの目標はかなり達成できていると言っている。もう破壊すべきものはほぼ破壊したので、停戦しても大丈夫という判断である。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/vance-says-iran-can-no-longer-build-nuclear-weapon/

アメリカは、バンカーバスターでイランの核施設を攻撃した後、どのようにそれを実行したのか、詳しく解説を行っていた。

ステルス爆撃機B2はアメリカ本土から発出発し、イランでの攻撃を実施した後、無事、本土に帰還したということである。驚くべき作戦だった。

イスラエルの背後には、この同盟国がいると全世界に表明した形である。

www.timesofisrael.com/report-trump-finalized-iran-attack-plan-last-wednesday-with-vance-fully-on-board/

また、もう一つの脅威であった危険な弾道ミサイルは、イスラエル自身の攻撃で、一昨日の時点で60%破壊したと言っていた。今はさらに破壊したと推測できる。

また、イランのハメネイ政権は、IRGC(イラン革命防衛隊)の重要な指導者たちはじめ、数えきれない司令官たちを失い、首都テヘランの司令室まで破壊された。その権力の象徴を叩かれた形である。

今後のイランについて、トランプ大統領は、今の政権打倒も示唆するような発言をしている。

press conference in Paris on June 23, 2025. (Joel Saget/ AFP

こうした中、アメリカでは、1979年のイラン・イスラム革命以来、アメリカに亡命している前イラン政権パーレビ国王の息子、アヤトラ・アリ・パーレビ皇太子が、パリで記者会見を開催。イラン市民に現政権打倒を呼びかけた。

イラン人の8-9割は、今のイスラム政権に合意していないとも言われているが、イランの人々が、今後、どうしていくかも注目されている。

www.timesofisrael.com/son-of-irans-ousted-shah-pleads-with-world-not-to-give-khamenei-a-lifeline/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。