イスラエル軍テヘラン大規模攻撃:IRGC中央司令室攻撃・悪名高いエビン刑務所解放他 2025.6.24 日本時間01:00

srael strikes in Tehran, Monday June 23, 2025. (photo credit: SCREENSHOT/VIA SECTION 24A OF THE COPYRIGHT ACT)

イスラエル軍は、6月23日(月)、戦闘機50機以上でテヘランを攻撃。約2時間の間に、複数の標的に、100個の爆弾を投下する大規模な攻撃を行っていた。テヘランに膨大な煙が上がる様子が報じられている。

この攻撃で標的となったのは、IRGCの中央司令室、悪名高いエビン刑務所の入り口、「イスラエル滅亡2040年までの終末時計」だった。

テヘランへの攻撃:政権軍事基盤と象徴を破壊

1)IRGCの国内治安中央司令室などへの空爆で数百人死亡か

イスラエル軍の50以上の戦闘機は、テヘランのIRGC(イラン革命防衛隊)の中枢的存在バシルの中央司令室、ミサイル製造工場、ミサイル貯蔵所、レーダーシステムなどへの攻撃を行った。

バシルは、IRGCの中心的存在であり、イラン政権の元で、イスラムの規制を守らない市民を摘発していた部署である。ちょうどナチスのゲシュタポのような存在かもしれない。

加えて、テヘラン州の治安を守る特殊警察のような部隊の中枢も破壊した。他にもこのような中枢的な部署への攻撃を実施していた。

攻撃で相当な数の死者が出ていると思われるが、確かな数字は出ていない。これはイラン政権の軍事力、政治力にも大打撃になったと予想されている。

2)エビン刑務所入り口破壊で受刑者解放

また、イスラエル軍は、エビン刑務所の入り口を空爆。結果的に刑務所は解放された。この刑務所は、反政府勢力、西側とのつながりで政治犯とされる人々、ジャーナリスト、学者など、外国人も入れられてきた刑務所で、45年もの間、恐ろしい拷問や処刑など非常に悪名高い刑務所である。

受刑者は数百人いるとみられているが、この攻撃による死傷者は報告されていない。

3)イスラエル滅亡時計の破壊

clock in Tehran’s Palestine Square counting down to Israel’s supposed destruction by 2040 (Video screenshot)

テヘランには、パレスチナ・スクエアがあり、そこに、イスラエルの滅亡は2040年として、その日を数える終末時計が置かれていた。

この時計は、2017年に設置されていたものである。英語とヘブライ語でも「イスラエルの滅亡までの時間」と表示している。

イスラエル軍は、今回の空爆でこれを破壊した。

www.timesofisrael.com/in-tehran-idf-strikes-irgc-sites-gate-of-evin-prison-destruction-of-israel-clock/

www.ynetnews.com/article/b1b3rr8ngg

フォルドーー核施設への通路破壊

on June 22, 2025. (Planet Labs PBC via AP)

イスラエル軍は、テヘランへの大規模な攻撃を行うと同時に、アメリカがバンカーバスターで攻撃していた核施設フォルドーへの攻撃も行っていた。

イスラエルが攻撃したのは、そのアクセスルートである。

イランが、核開発施設再建のために、ここから残っている機材を出さないようにするためであった。

イランのイスラエルへの反撃・弾道ミサイル攻撃40分続く

イスラエル軍がこれらの攻撃をしていた23日(月)午前11時ごろ、イスラエル中北部、南部に向けて弾道ミサイル6-7発を、約40分の間に4波で発射した。40分の間、サイレンが鳴り続けたということである。

この間、ガザ国境、レバノン国境住民含め、数百万人のイスラエル人たちが、シェルターに留まった。1発が南部のエネルギー施設に着弾し、停電となったが一時的だったとのこと。

さらにまた1時間後に、またその2時間後にもサイレンが鳴ったが、いずれも迎撃できていた。一連の攻撃で、死傷者は出ていない。

なかなか苦しい日々だが、イスラエル人は、なかなかの一致と抵抗力を見せていると言われている。

www.timesofisrael.com/iran-fires-ballistic-missiles-at-israel-idf-targets-tehran-with-unprecedented-strikes/

目標は数日以内に達成するとネタニヤフ首相

ネタニヤフ首相は、イスラエルの滅亡を狙うイランの脅威を排斥するという目標は、ここ数日の間に達成するとの見通しを表明していた。目標とは、イランが、イスラエル存続の脅威ではなくなることである。

したがって、イランが攻撃を続ける限り、イスラエルは攻撃を続ける。延々と消耗戦を続ける気はなく、できるだけ早く目標を達成させるつもりである。

アメリカのメディアWSJは、ネタニヤフ首相は、イスラエルは、アメリカによるイランの核施設攻撃の影響を最大限にするため、戦争をできるだけ早く終わらせようとしているとも書いている。

www.timesofisrael.com/israel-said-to-convey-message-to-iran-it-is-looking-to-end-war-within-days/

今回の攻撃で、イスラエルの最後時計が世界に明らかにされ、イランが、イスラエルの滅亡を考えていたこと、なぜイスラエルが、今回ここまで計画準備し、先制攻撃に踏み切ったのか、世界に明らかになったことを期待したい。

石のひとりごと:イランが先かイスラエルが先か

アメリカがイランの核施設を破壊した今、イランが米軍施設を攻撃するか、アメリカ国内外でテロが発生する懸念も出ている。

全世界はイランによるホルムズ海峡封鎖で、甚大な経済的損害の懸念に震え上がっている。

NYTは、世界が急ぎ沈静化を目指す中、イスラエルがこれほどに大規模で、イラン政権を怒らせるような、テヘランへの攻撃をしたというような伝え方をしていた。

今の所、イランには降参する様子はない。今、イランが、アメリカへの攻撃や、ホルムズ海峡の封鎖を含む反撃に出るのが先か、イスラエルが、それをするだけのイランの力をたたくのが先か、というところだろうか。イスラエルが先になる方を祈る。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。