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イラン情勢が急激に緊張し始めている。これに伴い、アメリカが、中東の米大使館職員を最小限にする動きに出ている。
イスラエルはイラン攻撃の準備はできていると言っており、ここ数日中に攻撃に踏み切る可能性がある。
イランとアメリカの核交渉行き詰まり!?:イランがアメリカに強力な警告
トランプ大統領は、イランとの交渉を優先だと言って、ネタニヤフ首相にイランへの武力行使にブレーキをかけたが、実際には、アメリカとイランの核交渉は、頓挫に近い状態になっている。
イランは、現在行なっているウランの濃縮は、あくまでも平和利用だけだと主張している。しかし、イランがすでに到達している濃度のウランは、核兵器以外の用途で使われるものではない。
アメリカは、非常に厳しくなっているイラン経済への支援や、ある程度までのウランの濃縮は認めるといった譲歩をして、イランにこれ以上の核開発をやめるよう、交渉を進めている。
しかし、同時にトランプ大統領が、イランが核兵器保有国になることは認めないという原則は崩していないとも言っている。
また、トランプ大統領は、以前、もしこの交渉がうまくいかなかった場合は、イランの核施設を攻撃してでもその能力を破壊するしかないとも言っていた。
アメリカとイランの6回目の交渉は、オマーンで、今週末に予定されている。これが実施されるのかどうか、実施されたとして、どんな結果が出るか、悲観的な予測が広がっている。
こうした中、6月11日(水)、イランのナシルサデ国防相は、先に、「もし、紛争を強制された場合(攻撃された場合)、敵の死者数は、確実に我々の死者数より大きくなるだろう。
アメリカは、中東を離れるべきだ。中東の米軍基地はすべて射程内にある。躊躇なく攻撃する」と、強力な警告を発した。
イスラエルはイラン攻撃準備完了と:イギリスは付近の貿易船に警告
イランが警告を出したのと同じ11日(水)、アメリカは、イスラエルからイラン攻撃の準備は整っているとの連絡を受けたとCBNが伝えた。攻撃がここ数日中になる可能性も指摘している。
イスラエルはもともと、イランの核施設へ攻撃をするつもりだった。しかし、トランプ大統領にブレーキをかけられていた形である。
ネタニヤフ首相は、トランプ大統領のゴーサインがなければ攻撃はしないと言っていた。しかし、今、アメリカからゴーサインが出る流れになっているのかもしれない。
イギリス海軍の海上貿易作戦センターは、ペルシャ湾、オマーン湾、ホルムズ海峡にいる船に、地域内の緊張が高まっているとの警告を発した。イギリスは、特に、イスラエル関連の船舶が危険だと警告している。
www.ynetnews.com/article/b1j3dsdqlg#autoplay
この地域は、石油や穀物などの貿易船が盛んに行き来する地域である。この地域で、イランを巻き込む戦争になれば、特に石油の運輸に影響が出る。
日経新聞によると、すでにアメリカの原油価格が5%上昇したと伝えている。日本への影響も時間の問題である。
www.nikkei.com/article/DGXZQOGN120670S5A610C2000000/
アメリカが中東各地の米大使館から撤退を開始
アメリカ国防省と軍は、中東での緊張が高まっている中、イラクの米大使館職では、必要最低限以外の職員を退去させる準備を開始しているとロイターが伝えた。
バーレーンとクェートでも、必要最小限以外の職員とその家族には、出国するかどうか、選択肢を与えた。
また、軍についても、ヘグセス米国防相は、中東にいる米軍の家族たちに自主的な撤退を許可すると連絡したとのこと。
www.nikkei.com/article/DGXZQOGN120990S5A610C2000000/
別項になるが、アメリカは先にシリアの米軍を撤退させると発表していた。中東からアメリカの影響力がさらに弱体化する動きである。
イスラエルの国内事情からも危機感?
イスラエルでは、今、ユダヤ教政党が、超正統派への徴兵問題で、ネタニヤフ政権に不信任案を議会に出したところで、野党もこれを後押しすると表明。政府が崩壊する可能性があった。
ネタニヤフ首相は、国の分裂に対し、敵国を攻撃することで、緊急事態、国家一致を図るということを何度か行なってきている。このため、今回もイランを攻撃する可能性があるとの懸念も出ていた。
昨夜遅くに行われた決議の結果、賛成53、反対61で、否決となった。これにより、少なくとも6ヶ月は、不信任案は出せないので、少なくともあと半年、ネタニヤフ政権は生き延びることになった。
この状態の今、ネタニヤフ首相は、どう出るだろうか。最高指導者の立場を確保した今、攻撃のゴーサインと受け取る可能性もある。主の支配を祈るのみである。
