ガザへのグレタ・トゥーンベリさんら活動家のフロティーラ船:イスラエル軍が阻止・アシュドド港へ連行 2025.6.9

Coverage of the takeover of the Gaza flotilla (Photos: Foreign Ministry)

グレタ・トゥーンベリさんたちのフロティーラ船・IDF海軍が阻止

環境問題で有名になったグレタ・トゥーンベリさん(22)含む12人の複数の親パレスチナ、反イスラエル活動家たちを乗せたフロティーラ船、マデリーン号が、支援物資を積み込んで、6月1日(日)、シシリー島からガザへと向かっていた。

グレタさんは、パレスチナのスカーフを身につけ、「イスラエルはガザで戦争犯罪をしている」「パレスチナに自由を」と、反イスラエルの主張を繰り返した。船からのメッセージも伝えていた。

ガザ海域では、イスラエル軍が封鎖を続けている。カッツ国防相は、その理由は、これ以上、武器がガザのハマスに届かないようにするためだと語っている。グレタさんたちは、ガザに到達できるのか、イスラエル軍はどう出るのか、注目されていた。

6月8日(日)ガザへ近づいてくると、GPS機能が混乱(おそらくイスラエルのロケット弾対策によると推測)となり、マデリーン号は、一旦エジプト沖に到達した。

船がガザを目指して近づいてくると、イスラエル軍は、「“セルフィー・ヨット“に対し、国際的コミュニケーションを経由して伝える。イスラエル軍が制限している海域に近づかないよう、方向をかえなさい」と伝えた。

この間、グレタさんたちは、「今包囲されている。ドローンが飛んでいる。国際海域で、これは戦争犯罪だ」などと、SNSにアップしていた。もしイスラエル軍が乱暴に乗り込んできたら、SNSでライブ配信するとみられる。

これに対処したのは、イスラエル海軍のエリート特殊部隊13人だった。9日(月)13人は静かに、マデリーン号に乗りこみ、乗っていた人々と衝突することもなく、船を確保し、そのままイスラエルのアシュドド港へと連行した。

イスラエル外務省は、「“セルフィー・ヨット”に乗っていた金持ちは、安全にイスラエルの港に向かっていると発表した。連行の際、活動家たちに、サンドイッチと飲み物を出し、グレタさんも受け取る写真が写っている。

 

グレタさんたち活動家たちには10月7日のハマス映像を見せる方針

外務省によると、マデリーン号が積んでいた支援物資は、わずかトラック1台分であったことから、サンバーグ氏たちは、本気でガザ市民を助けるというよりは、ただメディアの注目を浴びたいだけだったと言っている。

ちなみに、イスラエルがこの1週間の間にガザへ搬入したトラックは1200台、食料1100万食分を超えていた。

www.ynetnews.com/article/rkx3juqxxe#autoplay

イスラエルは、ハマスがテロリストであることをわかってもらうため、船に乗っていたグレタさんたち活動家全員に、2023年10月7日のハマス戦闘員が体につけていたカメラで撮影していた実映像をまとめた43分のビデオを見せるとのこと。

そこには、虐殺、斬首、拷問と見るに耐えないハマスの実質がある。このクリップは、当時、国際メディアの記者たちに見せたもので、記者たちのハマスの理解を助けることにつながった。

グレタさんたちは、皮肉にもハマスのこの事実を、世界に、改めて認識させることになるのかもしれない。

www.timesofisrael.com/idf-shows-foreign-press-raw-hamas-bodycam-videos-of-murder-torture-decapitation/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。