イランへの警告:アメリカがイエメンのフーシ派大規模攻撃開始:反撃はイスラエルにも? 2025.3.17

This image taken from video provided by the US Navy shows an aircraft launching from the USS Harry S. Truman in the Red Sea before airstrikes in Sanaa, Yemen, March 15, 2025. (US Navy via AP)

アメリカがイエメンのフーシ派へ大規模攻撃開始

3月16日(土)、トランプ大統領が、イエメンのフーシ派へ、かなり本格的で大規模な戦闘機による攻撃を開始した。フーシ派によると、これまでの24時間の間に数十か所へ2回、攻撃が行われた。

首都サナアの建物も被害を受けており、瓦礫の中から人々を救出する様子もみられている。イエメン政府によると、3月16日時点で、子供5人、女性2人を含む53人が死亡。98人が負傷した。

これに対しフーシ派の指導者アブドゥル・マリク・アル・フーシは、アメリカがイエメンへの攻撃を続ける限り、紅海のアメリカ海軍への攻撃を続けると宣言した。

その後、フーシ派は、紅海に駐留するアメリカの空母USSハリー・トルゥーマンやその周辺の船に向けて、ミサイルやドローンを発射した。こちらもこれまでに2回、反撃している。すべて迎撃されており被害の報告はない。

しかし、フーシ派は、アメリカ軍による攻撃で、2023年11月に、フーシ派に拿捕されていた船舶ギャラクシー・リーダー」の司令室が被害を受けたと反論もしている。

November 19, 2023. (Houthi Media Center via AP, File)

この船は、イスラエル人が関係するイギリス企業が所有するバハマ船舶で、日本が運航を担っていた船である。

一時フーシ派に乗っ取られ、拿捕されたあと、2025年1月に乗組員が解放されていた。

www.timesofisrael.com/houthis-claim-2-attacks-on-uss-truman-us-strikes-said-to-target-seized-israel-linked-ship/

トランプ大統領は、イランに対し、フーシ派への支援をやめるよう、警告した。しかし、イランは、逆にイエメンに対するアメリカの攻撃に対し、「断固とした壊滅的な対応を取る」と、これを拒否する声明を出した。

今後もアメリカ軍は、フーシ派が、会場で船舶への攻撃を止めるまで続けるとみられている。トランプ大統領が就任以来、初めてとなる大規模な軍事行動である。

www.bbc.com/news/articles/c05mvr3j3yro

*アメリカがイエメンを攻撃する理由

イエメンにいるテロ組織フーシ派は、イラン傀儡でまだ攻撃されていない唯一の組織である。

フーシ派は、ガザを攻撃するイスラエルを非難し、それを理由に、時々、イスラエルに向けてミサイルを発射している。

また、世界2万隻(日本関連2000隻)の貿易船が通過するアデン湾で、海賊的な行為を続けて、国際社会の海運業に多大な被害を及ぼしてきた。日本の自衛隊も出動している地域である。

www.mod.go.jp/msdf/operation/cooperate/pirates/

これまでに国際商業船約100隻がフーシ派のミサイルやドローンによる攻撃を受け、2隻は撃沈。4人の水兵が死亡している。このため、商業船は、アフリカ大陸を回る、相当な遠回りを強いられている。

イエメンという国は、世界でも最悪規模の貧困国である。それがこれほどの武器を持っているのは、イランが支援していることと、海賊業で得た収入をすべて、軍事に費やしているからである。

フーシ派の反撃はイスラエルが標的か

この間に、フーシ派は、反撃のミサイルを発射。エジプトのシナイ半島に着弾した。イスラエルは、これがイスラエルを狙ったものかどうかの調査を行っている。

いずれにしても、今後、イエメンからイスラエルに向けて、ミサイルが発射される可能性が大きいとして、イスラエル軍は、警戒体制に入っている。

www.timesofisrael.com/houthis-claim-2-attacks-on-uss-truman-us-strikes-said-to-target-seized-israel-linked-ship/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。