イスラエルはレバノン側5か所にまだ駐留を続けている。ヒズボラがまだ完全に南レバノン地域から排除されていないからである。しかし、レバノンはこれをよく思っていない。
レバノンとイスラエルの間には、平和条約が交わされておらず、国交がないまま今に至っている。そのため、まだ両者が合意する国境がない。
今あるのは、国連安保理決議1701で定められた、暫定的なブルーラインが、一応の国境とされているだけである。
このため、アメリカとフランスが加わり、もうそろそろイスラエルとレバノンの間で国境を定めるべきとの協議が、地中海沿岸、両国の境目レバノン側の町、ナコウラで行われている。
その交渉の中で、イスラエルは、レバノン側にジェスチャーとして、イスラエル国内に収監されているレバノン人を解放する話になったようである。
まず、3月11日(火)に、レバノン人拘留者5人を、赤十字を通じて釈放した。このうちの1人はヒズボラであった。続いて、13日(木)にも5人のレバノン人拘留者5人を釈放した。
これにより、レバノンも今後、レバノンとイスラエルは、3つの作業チームを設立し、来月初頭から、それぞれで交渉を行なっていくことで合意したと発表した。
ただし、両国はまだ国交がないので、国連決議1701に基づいて、直接交渉はしない形で進めるとのこと。間に仲介国が入るものと思われる。
3つの作業班が取り組む3項目とは次の3点である。①ブルーラインについて、②議論になってる13か所について、③イスラエルにまだ収監されているレバノン人について。
レバノンのメディアによると、イスラエルに拘留されているレバノン人はまだ14人おり、そのうち、7人はヒズボラとのこと。ただこの動きが、両国の和平条約に発展していくとは考えにくいとみられている。
*イスラエルとレバノンの近年の歩み
イスラエルは、2000年にレバノンから完全撤退している。しかし、その後ヒズボラが勢力を伸ばしたこともあり、レバノンとイスラエルの間には、戦争が絶えなかった。大きいところでは、2006年、それ以後もヒズボラとの衝突は単発していた。
2010年には、ハイファ沖で天然ガス油田が発見されたが、その位置がレバノンとの国境にまたがっていた。これについてはアメリカが仲介して、2022年、ラピード首相の時に合意に至っている。これについて右派たちは納得していなかった。
2024年10月7日以降は、小ぶりながら衝突が続いていたが、だんだんエスカレートし、2024年10月1日からイスラエル軍が、南レバノンへ侵攻したのであった。
www.timesofisrael.com/israel-returns-fifth-lebanese-prisoner-after-border-delineation-talks/