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ロスアンゼルスの山火事まだ延焼中
CNNによると、10月7日(火)に始まったロサンゼルスでの大規模な山火事は、1月11日午後2時(日本)の時点で、まだ4か所で鎮圧されておらず、火災はまだ拡大している。
以下は、本日1月11日午後2時半に発表されたパリセーズの山火事の様子(AP)
今も10万人に避難命令が出ている。NYTによると、9日(木)に、一時1000万人に、誤った警報が発せられるという混乱ぶりであった。
現在も燃えているのは、主にイートン地域(鎮火率3%)と海岸沿いのパリセーズ地域(鎮火率8%)である。
これまでに、3万5000エーカー(東京ドーム3043個分)が燃え、少なくとも1万棟が焼失した。地域がまるで空襲を受けたように黒く、たいらになっている。
死者は、今わかっているだけで、11人だが、もっと増える可能性が高い。CBNニュースによると、住民は“黙示録”的な火災だと言っているという。
最高級の住宅地が燃え尽きたことから、その被害額は、日本円で8兆円規模とも推測されている。カリフォルニア史上上位5番目に入る、甚大な山火事災害だという。
これほどに被害が大きくなったのは、異常気象により、以上に雨が少なく、空気が乾燥していたことと、サンタ・アナと呼ばれる強風が吹いていたことが挙げられている。
しかし、それだけでなく、消防車が使える水が不足したことから、行政の責任を指摘する記事が出始めている。
www.nytimes.com/live/2025/01/10/us/fires-los-angeles-california#la-fires-gavin-newsom-water-supply
避難民の様子:火災保険の問題
避難民は、たとえば、パサデナでは、コンベンションセンターや、各地の高級ホテルに殺到している。
www.nytimes.com/2025/01/10/travel/los-angeles-fire-evacuees-hotels.html
被災民の中には、ペットを連れている人も多い。日本と同様、ペットも受け入れる避難所は少ない。以下の取材ではペットOKの被災地である。
インタビューされている男性によると、当初は、ペットとともに避難所を探す人の列になっていたが、幸い、今は、支援物資を持ってくる人の列になっているとのこと。避難民とともに受け入れているペットは350匹以上で、中には重傷のものもいる。
今後、飼い主とはぐれたペットたちの問題もある。そうしたペットは怪我をしている可能性が高い。男性は、今も、これから経済的な支援が必要になると言っている。
家が全壊、焼失した人が多いが、この地域では、山火事が多く、昨年火災保険会社が、保険の継続を打ち切ったケースがあったという。
CNNなどによると、カリフォルニアでは、2020-2022年の間に、280万件が保険を打ち切られていた。この中には、今回被災した、53万1000件が含まれていたという。
保険を打ち切られた人は、州が提供する保険Fireに加入するしかないが、この保険の保険料は、1年前から61%も値上げしており、4年前の値段の3倍になっていた。加入できてないケースもあるかもしれない。今後気になる問題である。
edition.cnn.com/2025/01/09/business/california-wildfires-homeowners-insurance/index.html
また、この地域には、7万5000人のホームレスがいたとのことで、この人々がどうしているかも問題である。
被災地での強奪や盗難
被災したイートン、パリセーズは、トップクラスの高級住宅街である。NYTによると、これまでに、略奪や個人情報の盗難、麻薬所持、強盗用具所持などで、少なくとも18人が逮捕された。
このため、当局は、夜間外出禁止令を出し、軍部隊を配属して、治安の維持にあたっている。
アメリカの反イスラエル組織が山火事をイスラエルのせいだと発信
Times of Israelによると、アメリカの極左グループ、“ピンク”はじめ複数の組織が、1月9日(木)、ロサンゼルスの山火事とガザでの戦争を関連づける投稿をインスタに上げた。
それによると、「アメリカで払っている税金が、ガザで人々を生きたまま焼き殺している。その日がアメリカに戻ってきても不思議はない」と言っていた。
シオニズムに反対するユダヤ人(アメリカ在住)グループは、同じくインスタで、ロサンゼルスの火災に関する投稿の中で、「アメリカ政府は、私たちの国を住みやすくすることに使うべき数十億ドルの税金を、ガザのパレスチナ人の大量虐殺に使っている」との声明を出していた。
別の組織は、気候変動とガザの戦闘を結びつけ、「ガザに数十万の爆弾を投下し、炎で地獄に変えたのだから、その結果が出ている」と言っている。
www.timesofisrael.com/us-anti-israel-activists-blame-israel-for-los-angeles-wildfire-crisis/
悲惨なことが起こった時に、事実とは関係なく、だれかのせいにすることをスケープゴートという。ホロコーストを含め、ユダヤ人は世界中どこにいても、スケープゴートにされてきた人々である。
今、カリフォルニア史上最悪ともいえる火災をユダヤ人とその国イスラエルのせいにするという動きも、事実として考えるには、明らかに無理がある。しかし、これほどに大きな災害とその苦難に直面する中では、軽く信じられてしまう可能性も否定できない。
特にイーロン・マスク氏が、SNSでの事実確認を緩和する動きにあるので、反ユダヤ主義意識が急速に広がることも阻止できないだろう。
ADL(名誉毀損防止同盟)CEOジョナサン・グリーンブラット氏によると、この10年で、アメリカ国内での反ユダヤ主義事件は、900倍に増加しているとのこと。
www.jpost.com/podcast/jpost-podcast/article-836855
今後、カリフォルニアの大災害がどう復興していくのか。トランプ次期大統領の動きとともに、反ユダヤ主義の動きにも注意が必要である。