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続くイエメンからの攻撃
フーシ派は、イスラエルから2000キロも離れたイエメンから、特に12月16日以降、ミサイルやドローンを発射し続けている。
先週は、3回、イスラエルの迎撃システムをかいくぐって、テルアビブ周辺の市街地に着弾していた。
幸い、死傷者は出ていないが、16人が負傷。学校やアパートなど建物に大きな損害が発生した。
こうした状況に対し、イスラエルは12月19日(木)、イエメン本土、その首都サナアと主要な3つの港も破壊する攻撃を行った。しかし、その翌日20日(金)、フーシ派は、またミサイルを発射してきた。これに対しては、21日(土)、アメリカ軍がイエメンへの攻撃を行った。
しかし、その後また25日(水)にもフーシ派は、イスラエルに向けてドローンを発射。アシュケロンの空き地に着弾したが、建物の損害も負傷者も出なかった。
イスラエル空軍イエメン本土へ2回目の攻撃
しかし、スラエルは、26日(木)、再びイエメンに戦闘機25機を派遣し、サナアの空港と海岸沿いのホデイダ港や複数の港、発電所や、フーシ派、イラン関連地点への空爆を実施した。
フーシ派の通信者によると、この攻撃により、空港で3人、ホデイダ州で3人の計6人が死亡。40人が負傷した。死者が民間人か戦闘員かは不明である。
以下はフーシ派系メディアが発表した、攻撃当時のサナアの空港の様子。管制塔、待合ラウンジや滑走路も破壊されている。
この攻撃のあと、本日27日夜中の午前3時半ごろ、フーシ派は、またイスラエルに向けてミサイルを発射。テルアビブ含むイスラエル中央広範囲でサイレンが鳴った。被害は報告されていない。
イスラエルがイエメン本土を空爆するのは、4回目で、首都サナアへの空爆は2回目である。
しかし、イスラエルからイエメンまでは2000キロもあり、戦闘機は往復するのに途中で給油が必要になるため攻撃部隊には、給油機や、貨物機、情報収集機などが同行するという作戦になる。今後の戦闘には、アメリカなど協力する部隊が必要だとの意見も出ていた。
また、モサドのバルネア長官、ガンツ前IDF参謀総長からは、今はフーシ派ではなく、その親玉であるイランへの攻撃をする時だとの意見が出ていた。
しかし、ネタニヤフ首相はこれを拒否した形である。
ネタニヤフ首相と、カッツ防衛相は、今後、フーシ派を無力化するため、ハマスやヒズボラのように、指導者トップを狙うと言っている。フーシ派のトップは、モハンマド・アル・アリ・フーシである。
攻撃時イエメンの空港にいたWHOのテドロス事務局長
問題は、この時、サナアの空港に、WHO(世界保健機構)のテドロス・アダノム事務局長が、サナアの空港にいたことである。ちょうど飛行機に乗り込もうとしていたところだった。
こんな時期だが、なぜテドロス事務局長が、イエメンにいたのか。イエメンは世界でも最も貧しい国であり、市民が指導者に抑圧されているので、その人道状況を調査するためにチームと共にイエメンにいたとみられる。てドロス事務総長は、イエメンに対し、被拘禁者の即時釈放を求めるとの公式発表を出している。
www.bbc.com/news/articles/clyj88rye1jo
攻撃の際に、テドロス事務局長がいたことをイスラエルが知っていたかどうかは不明だが、国連のグテーレス事務総長は、この攻撃を「特に憂慮すべきこと」と発表。またイラン外務省も、「平和と安全の侵害だ」との声明を出した。