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ベツレヘムのクリスマス2024
イエス・キリスト生誕の地、ベツレヘムでは、昨年に続いて今年も、閑散としたクリスマスを迎えている。降誕教会では、12月25日0時からのミサが行われた。
しかし、戦時中であるため、通常なら、ベツレヘムの街中で盛大に行われる、クリスマス祝賀行事は、2年続けて今年も実施されなかった。観光客でごったがえして、通常ならチケットがないとベツレヘムに入ることすらできなかったが、今は、観光客はほとんどなく、閑散としている。
マンガースクエア(まぶねの広場)に、クリスマスツリーはなく、土産物店も閉まっている。ミサ前の降誕教会はからっぽで、生まれたイエスの人形は、パレスチナのシンボルである黒いカフィア(スカーフ)で覆われ、飼葉桶の代わりに、石ころの上に寝かされている。
パレスチナ人たちは、ガザの人々が苦しんでいるのに、祝えないと言っている。しかし、ベツレヘムでクリスマスがないのは、ベツレヘムの住民の多くが、キリスト教徒ではないということも影響しているかもしれない。
ロイターによると、1947年、ベツレヘムの人口のうち85%がキリスト教徒だった。しかし、その後、イスラエルが建国し、1993年のオスロ合意以降、ベツレヘムはパレスチナ自治政府が管轄するA地域に指定された。
すると、イスラム系過激派が流れ込んでくるようになり、肩身が狭くなったキリスト教徒は、海外の知人や支援者が多いこともあり、ベツレヘムから出ていくようになったのである。
2017年の時点で、ベツレヘムのキリスト教徒人口の割合は、わずか10%(人口21万514人中、2万3000人)にまで低下していた。今はさらに下がっていると思われる。
Ynetによると、降誕教会のスピリドン・サンモア神父が、来年アメリカで就任するトランプ次期大統領が、ウクライナでの戦争と、ガザでの戦争を止めることに期待を語っている。サンモア神父は、世界の平和のために、指導者たちのために祈るべきだと語っている。
www.ynetnews.com/magazine/article/b1qhisorjl
石のひとりごと
本家ベツレヘムでは、クリスマスを盛大に祝えない状況にある。人間の愚かさと罪を象徴しているような気がする。
一方、全世界では、各地でクリスマスが祝われた。以下のNYTの記事には、世界各地のクリスマスの様子が写真で伝えられている。
www.nytimes.com/2024/12/25/world/middleeast/christmas-photos-world-2024.html
2000年も前、日本では弥生時代末期に実在したイエスキリストを信じ、慕う人々が、今もなお全世界にいるという事実。普通では考えられないことである。イエスが、罪深い人間とは、まったく対照的な、全能の神と無関係でないことは疑いようがないのではないだろうか。