ハマスに続いてヒズボラが、大打撃を受け、イランも押され気味の中、パレスチナ自治政府が、自らジェニンのパレスチナ過激派掃討に乗り出している。
ジェニンは、ハマスやイスラム聖戦などあらゆる過激派が、イスラエルでのテロを計画する町であり、イスラエルがずっと、その摘発をしていた地域である。ここでの衝突で戦死したイスラエル兵は少なくない。
ジェニンでは、12月6日(金)、ハマスとイスラム聖戦が、パレスチナ自治政府治安部隊の車両を強奪。通りをひけらかすことで、自治政府の弱体化を強調してみせた。
Jenin today… Hamas and Islamic Jihad have hijacked PA security vehicles and are patrolling the streets of the city in the middle of the day! This is how weak Abbas is. If he doesn't step down immediately and allow reforms, then instead of getting back the keys to Gaza from… pic.twitter.com/KNBB9PtsqM
— Samer Sinijlawiسامر السنجلاوي (@SSinijlawi) December 5, 2024
すると、自治政府の治安部隊は12月9日(月)に、ジェニンに乗り込んで、地元民と衝突し、19歳少年が死亡。5日後の12月14日(土)、ジェニンのテロ組織を一掃する作戦を開始し、イスラム聖戦の司令官ヤジード・ジェイサを殺害した。
この作戦を実行したのは、パレスチナ自治政府のエリート部隊101で、Ynetによると、アメリカとカナダで訓練された2000人からなる部隊だという。
この部隊がジェニンでテロリスト一掃をしていることを受けて、アメリカは、イスラエルに、自治政府に軍事支援するよう、要請してきた。
イスラエルがこれに応じたという報告はない。
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このパレスチナ人同士の戦いという、不思議な動きについて、テルアビブ大学のパレスチナ研究フォーラムのマイケル・ミシュルシュタイン氏は、自治政府が、ジェニンでの一掃を行うことで、ガザを含め、パレスチナ人のを統括するのは、自治政府であるとアピールしたいのではないかと語る。
しかし、ガザ地区において、自治政府の出番はないとミシュラン氏は見ている。ガザでは、自治政府ではなく、ガザに昔から住んでいる氏族が、アラブ諸国と協力して、ガザ立て直しに向かう流れになると、予想されるからである。
ミルシュタイン氏によると、西岸地区における自治政府の支持率は、非常に落ち込んでおり、イスラエル軍との治安維持協力を維持していることだけで、その支配力がなんとか維持されているという。
今回のジェニンへの攻撃で、当然ながらハマスとイスラム聖戦は、自治政府への反発声明を出しており、逆効果になる可能性もある。先に死亡した19歳の少年は無防備であったことから住民からの反発も強く、部隊の責任者は辞職している。
今後、ハマスやイスラム聖戦が、イスラエルより先に自治政府を攻撃する可能性も考えられなくもないという。しかしそうなれば、イスラエルにとっては、自治政府よりもっと悪い政府が出てくるので、問題である。
石のひとりごと
なんとも殺し合いの様相である。黙示録に次のような箇所があり、今がその時であるというわけではないが、思い出してしまった。終わりの時に放たれる苦難の象徴の一つである。
小羊が第二の封印を解いたとき、私は、第二の生き物が、「来なさい」と言うのを聞いた。すると、別の、火のように赤い馬が出て来た。これに乗っている者は、地上から平和を奪い取ることが許された。人々が、互いに殺し合うようになるためであった。また、彼に大きな剣が与えられた。(黙示録6:11)