シリアで新政権が微妙な様相にある中、イスラエルの国会は、12月15日(日)、ゴラン高原の人口を倍増させるための予算として、4000万シェケル(約16億円)を計上することを、圧倒的多数で可決した。
現在、イスラエル側のゴラン高原には、ユダヤ人とドルーズ族がほぼ半々で、約5万人が住んでいる。今では、おいしいワインでも有名になっている。
ここに新たな教育機関や、再生可能エネルギー施設などを設立し、住民を呼び込もうという計画である。ネタニヤフ首相は、ゴラン高原を強化することは、国を強化することだ」と語っている。
しかし、この動きは、国際社会では、批判的に受け取られた。
ゴラン高原は、1967年の六日戦争(第三次中東戦争)の時に、イスラエル側とシリア側に分割されたが、イスラエル側については、1981年にイスラエルが、一方的に合併を宣言した。国際社会はこれを認めていないが、2019年に、トランプ大統領が、アメリカとしてこの合併を承認すると明言している。
イスラエル政府のゴラン高原人口倍増、開発計画に対し、サウジアラビアがまず非難声明を出した。サウジ外務省は、イスラエルは、今、シリアとの緩衝地帯を制覇したのに続いて、この決議を出すことで、シリアの安定と回復を脅かしていると言っている。
またカタールも、イスラエルのシリア侵略の一連の行為であり、国際法の露骨な違反だと述べた。UAE(アラブ首長国連邦)は、イスラエルとの関係を最も進めている国だが、そのUAEも、「占領を拡大する意図的な努力であり、国際法に違反する行為だ」と非難した。
www.timesofisrael.com/cabinet-approves-11-million-plan-to-double-population-of-golan-heights/
www.jpost.com/middle-east/article-833585
日本でも警戒感を持って報じられていた。