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戦争は、陸海空軍による実質の戦闘だけではない。目には見えないサイバー戦争が繰り広げられている。レバノンからは、ハッカー集団が、イスラエルの重要なインフラなどを標的にした攻撃を続けている。
www.ynetnews.com/business/article/bjytijyqyx
イスラエルへの攻撃
イスラエル北部では、ジブ医療センターがハッキングされた。国家案戦保障省のウェブサイトもハッキングされた。法律事務所や、商業施設へのハッキングも発生している。
2020年には、イスラエルの給水システムがハッキングされ、あやうく、排水される水の塩素濃度を上げられるところ、阻止するといった事件もあった。
また2023年には、イスラエル南部ディモナにある原子力発電所が、「アノニマス」と呼ばれるグループにハッキングされ、重要な情報が盗まれた。幸い、重大なことにはならなかったが、ITに強いイスラエルとしては、屈辱だった。
このほか、首相官邸に関わる件が報告されているが、首相官邸へのリモート接続のハッキングが4900万回、サービス拒否攻撃が100万回、悪意あるリンクを含む電子メールが600万回とのこと。
こうした、サイバー攻撃は、ハマスとの戦争勃発以来、それ以前の7倍に増え、1日数千回にも上っているという。
今の所、まだ重大な結果にはなっていないが、イランは、まだその能力をすべて使っていないとみられており、警戒が続けられている。
今後、特に警戒されるのは、発電所、製油所、銀行などへのハッキング。阻止できなければ、社会がたちまち大混乱に陥る。
政府機関や企業への攻撃で情報が盗み出されることや、ソーシャルメディアを通したプロパガンダ、すでに問題となった、情報漏洩のための闇バイト募集も問題である。
ヒズボラ・イランへの攻撃
一方で、ヒズボラ、イランの方でも深刻なサイバー攻撃にみまわれている。2020年、イランでは、コンピューターウイルスの影響で、核の遠心分離機が故障した。イスラエルとアメリカによるものと考えられている。こうした死傷者を出さない作戦を、「ピンクボタン」と言う。
先月のポケットベル爆発では、多数のヒズボラ司令官たちが死傷したが、これは、遠隔操作による、イスラエルのサイバー攻撃である。こうした1回だけの攻撃で終る作戦を「レッド・ボタン」という。
イスラエル軍には、こうしたサイバー戦争に対処する、IT天才の兵士たちによる部隊8200がある。また、Ynetが紹介するのは、テルアビブのシンベト(国内諜報部)本部にある、「ハオルガン」と呼ばれるセンター。
ハオルガンは、ヒズボラとイランに対するサイバー攻撃を担当。24時間365日、休みなしで稼働している。
目に見える戦争だけでなく、目に見えない戦争も日夜、繰り広げられているということである。