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G20首脳がガザ、レバノンでの停戦を要求
11月18日(月)、ブラジルのリオデジャネイロで、毎年行われているG20首脳会議が始まった。
参加国は、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、日本、メキシコ、韓国、南アフリカ共和国、ロシア、サウジアラビア、トルコ、英国、米国の19ヶ国と、欧州連合(EU)。
ロシアのプーチン大統領は、国際司法裁判所から逮捕状が出ているため、欠席し、代理が出席していた。
緊迫しているウクライナ情勢など多くの問題が議論される中、ガザ、レバノンでの戦争についても話し合いがなされた。その結果、ガザとレバノン、両地域における包括的な停戦を求めるとの声明が出された。
ガザでは、人質全員の解放と行き交えに恒久的な停戦を求めること、レバノンでも停戦し、ブルーライン(2006年に制定された国境線)両側の住民が帰宅できるようにすることを求めるとしている。
www.timesofisrael.com/liveblog-november-19-2024/
ガザ・レバノンでの停戦の現状まとめ
1)ガザでの人質解放と停戦にむけた現状:バルネア長官がトルコへ
ガザではイスラエルが、ハマスのシンワルを暗殺して以後、各地でゲリラ戦のような戦闘が続いている。
しかし、もはやガザからのロケット弾はほとんど飛来していないことや、中南部ではかなりハマスに打撃を与えたのか、戦闘はほぼ中北部に集中しているようである。ガザ国境住民は、帰宅しはじめている。
しかし、人質解放と停戦にむけた交渉では、ハマスは、シンワルが死亡した後も、イスラエルがガザから完全に、また永遠に撤退することを停戦の条件にするとの態度を変えていない。
一方、ネタニヤフ首相も、基本的に、ハマスがガザに残留することを認めての停戦には合意しない方針である。
もう数ヶ月、なんの前進もみられず、仲介者のカタールが、その役割を放棄したところである。
しかし、こうなると、人質を取り戻す方法は軍事作戦でしかなくなることになる。これまで400日以上、武力による脱会を試みてきたが、ほとんど結果は出せていない。
カタールでの交渉にあたってきたバルネア長官たちは、このままでは人質を永遠に取り戻せないかもしれないと懸念を表明している。
また先週、人質家族フォーラムの保健チームも、人質が捉えられてから400日になり、一部の人質は食糧不足で体重が半減している。もうすぐ寒い雨季に入るため、人質の命がもたないと警告を出した。
こうした中、ネタニヤフ首相には、情報漏洩を通して人質解放を不可能にしてきた疑いが出ており、イスラエル国内では、問題が大きくなってきている。
ネタニヤフ首相としても、人質奪回を諦めたわけではないと証明しなければならない様相になっている。
そこで18日、ネタニヤフ首相は、テルアビブのIDF本部に、交渉に関わってきたシンベトのバル長官、モサドのバルネア長官、ハレヴィIDF参謀総長、IDF人質担当アロン少将、閣僚からカッツ防衛相、サル外相、ベングビル国家安全保障相、スモトリッチ財務相を招集し、人質返還に向けた取り組みを協議した。議論は翌朝3時まで続いたという。
結果は明らかではないが、この会議の後すぐの19日早朝、トルコへと出発していった。トルコには、カタールから追放されたハマス高官たちがいると報じられている。
しかし、トルコがカタールに代わって仲介をすることについて、イスラエルでは、ほとんど希望なしとの見方が広がっている。
2)レバノンでの停戦にむけた現状:ヒズボラがアメリカの停戦条件に合意か?
レバノンでは、ヒズボラのロケット弾は、毎日数時間ごとに、イスラエルに向けて発射されており、ハイファやテルアビブでも死者や被害が出ている。イスラエルもベイルート市内への攻撃を含め、戦闘範囲も拡大して、ヒズボラ拠点や武器庫の破壊作戦を継続している。いわば停戦の様相にはないといえる。
しかし、この状態の中、アメリカが仲介者となって、イスラエルと、ヒズボラとの連絡役になっている、レバノン暫定政府(正式な政府は存在していない)の交渉が続けられてきた。
その中で、これまでで、最も合意に近づいているといったニュースが時々出るようになっていた。
最新のニュースでは、レバノンのナビーフ・ベリ国会議長が、ヒズビラがアメリカの提示している停戦条件に、“コメントつきで”合意したと表明。11月18日、正式な回答を在レバノン駐米大使に書面で届けたとのこと。
これを受けて、現在、アメリカの中東特使アモス・ホフスタン氏が、レバノンに向かっている。もしかしたらヒズボラが何らかの合意を表明するかもしれないが、イスラエルの返答は不明である。