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サウジアラビアは、前トランプ米政権の時に、イスラエルにかなり接近し、アメリカを仲介としたサウジアラビアとイスラエルの国交正常化、さらには、サウジアラビアのアブラハム合意参加にまで夢は膨らんでいた。
しかし、その後を継いだバイデン政権は、サウジアラビアとの関係を悪化させた。
そうこうしているうちに、昨年2023年3月、サウジアラビアは、北京で中国を仲介として、7年ぶりに国交を正常化することに合意し、それをサウジアラビア、イラン、中国の3カ国で共同声明として発表していた。
今、イスラエルが、イランとの対峙を明確にする中、サウジアラビアは、イランへの支持とイスラエル非難を、アラブ諸国を代表する形で表明している。
サウジアラビアとイランが防衛外交関係発展に向けた動き
サウジアラビアの首都リヤドでは、11月11日(月)、イスラム協力機構(OIC)と、アラブ連盟の合同首脳サミット(約50カ国参加)の同時開催が行われた。
このサミットは基本的に、ガザとレバノンでの戦争を終わらせ、パレスチナ国家擁立をめざすためのサミットである。
これに先立つ10日(日)、サウジアラビアのファイヤド・アル・ルワ入り参謀総長が、イランの首都テヘランを訪問。イランのモハンマド・バゲリ軍参謀総長と会談した。
イラン国営放送によると、両者は、防衛外交関係の発展と協力を拡大することを話し合ったという。Y ネットは、イランが、イスラエルを攻撃する際に、湾岸諸国が手出ししないように警告したとも伝えている。
その後で、サウジアラビアのビン・サルマン皇太子とイランのペゼシュキアン大統領が、電話で会談。ペゼシュキアン大統領は出席せず、第一副大統領が出席すると伝えた。
ほとんどがスンニ派イスラム諸国である中で、シーア派として、まだ少し引いた形であったか、イスラエルとの戦争に備えてであったか、理由は不明である。
しかし、ビン・サルマン皇太子は、ペゼシュキアン大統領に、リヤドを訪問するよう、招待したとのこと。
www.jpost.com/middle-east/iran-news/article-828580
www.ynetnews.com/article/hjrqgoczyx
ビン・サルマン皇太子がイラン支持表明:イスラエルをジェノサイドと非難
11月11日(月)、リヤドで開催されたサミットにおいて、サウジアラビアのビン・サルマン皇太子は、イスラエルにイランの主権を認めて、イランへの攻撃を控えるべきだと述べた。
また、イスラエルが、ガザとレバノンで、兄弟であるパレスチナ人、15万人を殺害するジェノサイドを行っていると非難した。
www.timesofisrael.com/at-riyadh-summit-saudi-crown-prince-backs-iran-accuses-israel-of-genocide/
かつて、トランプ氏と特にネタニヤフ首相は、サウジアラビアとイスラエルの国交正常化に向けた動きに非常に力を入れていた。アブラハム合意にサウジアラビアが加われば、湾岸諸国とイスラエルの間に、非常に大きな経済交流が生まれ、イランを抑止するとの狙いもあった。
トランプ氏は、選挙に勝利してから、すでにサウジアラビアなどとコンタクトを始めたようだが、内容は不明。
大統領に復帰したら、サウジアラビアとイスラエルの国交正常化の方針を試みるかもしれないが、現状からするとあまり期待できない様相である。