イスラエル攻撃はこれまでにない規模とイラン当局:イスラエルはシリアでイランのスパイ拘束 2024.11.4

11月3日、テヘランの旧アメリカ大使館前でのラリー  Tehran, Iran, Sunday, Nov. 3, 2024. (AP/Vahid Salemi)

イスラエル攻撃はこれまでにない規模とイラン表明

イランのイスラム最高指導者ハメネイ師が、10月26日のイスラエルによるテヘラン攻撃に対して、アメリカの大統領選挙までに反撃を行うと宣言したが、まだその動きはない。アメリカの大統領選挙はもう明日になっている。

Handout via Reuters

しかし、2日(土)、イランのハメネイ師は、イランのイスラエルへの攻撃は、「歯が折れるほどの反撃」になるとの声明を出していた。

また、アメリカのウオールストリートジャーナルが報じたところによると、イラン当局は、エジプトなどアラブ諸国外交官たちに対し、イランのイスラエルへの攻撃は、これまでの攻撃より、強力で複雑な兵器による攻撃になると警告したとのこと。

しかし、アメリカの大統領選挙に影響を与えたくないので、イスラエルへの攻撃は。投票が終わってから、来年1月に新大統領が就任するまでに実施するとも示唆している。

一方、イランのペデシュキアン大統領は、イスラエルの攻撃で、イラン兵4人とイラン市民1人が死亡したとして、イランが防衛の権利を執行しないことはないとしながらも、同盟組織(ハマス、ヒズボラ)との交渉の結果次第では、イスラエルへの攻撃の規模が大きく変動する可能性が高いとも述べた。

www.wsj.com/world/middle-east/iran-tells-region-strong-and-complex-attack-coming-on-israel-2804179f?st=7EJHiV

どうにもややこしいが、イランがイスラエルを攻撃する可能性は決して低くない。

アメリカは、イランに対し、もしイランがイスラエルを攻撃したら、取り返しのつかないことになると、警告している。

アメリカは、昨年10月に、イスラエルとハマスの戦闘が始まってから、空母を2隻、中東に派遣して、大きな戦争を牽制していた。しかし、今、アメリカの空母アブラハム・リンカーンと、その艦隊は現在、中東を離れる準備をしている。

次の空母が来るのだが、それまでの間に空母がない期間が生じることになる。その過渡期にある今、イランとイスラエルの戦争の可能性がまた浮上しているわけである。

アメリカはイスラエルを支援:B52派遣

アメリカは、もしもに備え、この地域の米国人を守るために、B52(長距離核兵器搭載可能)を含む戦闘機、給油機、駆逐艦を中東に派遣すると発表した。イランは、ここ数時間野間にイスラエルを攻撃するのか。緊張は非常に高くなっている。

www.reuters.com/world/us-deploy-b-52s-warships-middle-east-aircraft-carrier-departs-2024-11-01/

なお、イランは、イランに経済制裁を発したトランプ大統領ではなく、ハリス氏を支持する傾向にある。

イスラエル軍がゴラン高原シリア側でイラン工作員拘束

高度な緊張の中、イスラエル軍は、3日(日)、ゴラン高原のシリア側で、イラン工作員ソレイマン・アル・アッシの身柄を拘束。アル・アッシから、イランが、ゴラン高原で作戦を計画している情報を入手したと発表した。

アル・アッシは、イスラエルとの国境に近い、ゴラン高原で、イスラエル軍の動きをさぐり、イランに報告していたとみられる。以下は、イスラエル軍がアル・アッシを拘束する様子と尋問の様子

アル・アッシを拘束したことで、この地域での作戦を阻止しただけでなく、イランに、アル・アッシが逮捕された写真を見せて、牽制するねらいもあったとみられる。

www.ynetnews.com/article/bjynx00hb1g#autoplay

イランとイスラエルは攻撃に入るのか。水面下では、さまざまな動きがすでに展開されているようである。

混乱のイラン国内:通りに裸の女性

イラン政権は、イスラム政権だが、イラン国民が全員その考えに合意しているわけではない。イスラム革命以前は、新米のパーレビ王国政権だったのである。国民の多くは新米であり、イスラエルを憎んでいない人も少なくない。

この混乱の中、2日(土)、イランの名門イスラム・アザド大学の女性学生が、通りで下着姿になって歩く様子が伝えられた。報道によると、この女性は、服装について準軍事組織メンバーから、スカーフや服を引き裂かれるという嫌がらせを受けた。これに反発して、逆に服を脱いで講義行動に出たという。

女性学生は、まもなく逮捕された。その後、殴られたり、性的暴力を受けたといった情報もあり、国際人権保護団体アムネスティ・インターナショナルは、この女性を即時に解放するよう声明を発した。

イラン国内には、女性の中にも自由を求めて、体を張って戦っている人もいるということである。

www.timesofisrael.com/iranian-authorities-arrest-female-student-who-stripped-to-protest-harassment/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。