ベイルート病院地下にヒズボラのナスララ党首バンカー:5億ドル相当の現金と金 2024.10.22

A graphic image of Hassan Nasrallah's bunker underneath a hospital in Dahieh neighborhood in southern Beirut. (photo credit: IDF SPOKESPERSON'S UNIT)

イスラエル軍は、20日(日)から、レバノン各地にある、イスラエルを攻撃するためのヒズボラの資金源になっている経済関連地点への攻撃を開始した。

その翌日21日、IDFのハガリ報道官は、ヒズボラの資金源に関する情報を世界に発信した。

1)ベイルート大病院真下にヒズボラのナスララ党首バンカー;5億ドル相当資金源

ハガリ報道官は、ベイルート南部ダヒヤのエル・サヘル病院の真下の地下に、故ナスララ党首のバンカーがあり、そこに5億ドル(約750億円)相当の現金や金が置かれていると発表した。

病院の真下に直結するこのバンカーは、近隣の建物と地下トンネルでつながっており、ヒズボラの中央指示センターであり、そこからイスラエルへの攻撃やテロ攻撃の指示が出されていた。

この膨大な財産は、イスラエルを攻撃し、テロ攻撃に使われていたとハガリ報道官は述べ、レバノン政府と国際社会に対し、ヒズボラにこれでイスラエルを攻撃させてはならないと警告した。

2)資金源はどこから?イラン政府とレバノンの人々

ハガリ報道官は、これだけの財産の資金源は、イラン政府とレバノンの人々だと指摘している。

イランのクッズ部隊は、シリアに販売した石油からの資金をヒズボラに供給していた。また、イランは、スーツケースに入れた現金と金を、ベイルートのイラン大使館を経由してヒズボラに供給していた。

ヒズボラは、シリア、レバノン、イエメン、トルコに工場を設立し、そこからの収益をテロ活動に使っていた。

こうしてレバノンにどんどん入ってくる、アメリカドルによる資金が、レバノン国内の経済を悪化させていたと指摘した。ヒズボラの大金と、レバノンが近年、経済的な危機に陥っていることと対比し、ヒズボラ(正式なレバノン政府の政党)はレバノンから搾取していたと指摘した。

しかし、ハガリ報道官は、空軍機から照準が病院に当てられている映像を見せながら、イスラエル軍は、この病院を監視しているが、攻撃はしないと述べた。

イスラエルは、ヒズボラと戦争しているのであって、レバノン市民と戦っているのではないと強調するためである。

攻撃しないとはいえ、ハガリ報道官は、レバノン政府と国際社会に対し、ヒズボラにこの金をイスラエル攻撃に使わせないよう警告しており、しっかり監視しているので、何か動きがあれば攻撃を躊躇しないと警告した形である。

この発表のあと、病院は患者を避難させたとの情報が出ている。

3)イスラエルは国境が安全になるまで、ヒズボラへの攻撃を継続する

またハガリ報道官は、イランからの資金を運営していた人物は、イスラエル軍の10月初頭のベイルートへの攻撃で死亡し、その後継者は、今日の空爆で死亡したと述べた。

イスラエル軍は、ヒズボラが再編成されることを受け入れることはない。イスラエルは、イスラエル北部住民が安心して帰宅できるまで、ヒズボラとの戦闘を止めることはないと強調した。

www.jpost.com/breaking-news/article-825545

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。