ガザ北部激戦でイスラエル非難の報道続く:イスラエル兵2人とイスラエル旅団長戦死 2024.10.21

northern Gaza [File: Mahmoud Issa/Reuters]

イスラエルは、ガザ北部での戦闘を強化しながら、残党ハマスが降参して出てくるよう、圧力をかけている。

特にジャバリヤでは、この2週間の間に、戦闘と空爆が行われており、ハマス戦闘員数十人を殺害したとのこと。

ガザ北部激戦で死者増加・悪化する人道支援状況

ガザ北部は、すでに70-80%の建物が破壊され、瓦礫状態である。ここでの戦闘が初期段階で終わって以降、避難民が戻り、テント生活をするようになっていた。

そこへハマスが本格的に戻ってきたことから、イスラエル軍は、また戦闘を繰り返さなければならなくなったという状況である。

イスラエル軍は、この地域にいるガザ避難民たちに被害が及ばないよう、移動と避難を警告しているが、それを拒否するものもいれば、もはた疲れて動けないなど、移動しない人が増えている。

国連によると、ガザ北部にいる民間人は40万人。そのため、どうしても民間人に被害が拡大している。

日本はじめ国際社会では、イスラエル軍が、ガザ北部で激しい空爆を行い、パレスチナ側の発表として、50人が死亡した、80人が死亡したといったニュースが続いている。

実際、インドネシア系の野戦病院では、イスラエルの戦車隊に包囲され、砲撃を受けたと医師たちが証言。シャティへの学校への公的で少なくとも7人が死亡など、人道的に問題となるケースも報告されている。

イスラエル軍は、死者数については誇張していると主張している。しかし、民間人に死者や負傷者が出ていることは否定できないことである。また瓦礫の下にいる死者がまだいるかもしれず、逆に死者数が増える可能性もある。

www.jpost.com/israel-news/article-825278

また、ガザ北部では、人道支援物資の搬入が遅れており、食料の物価が上がりすぎて、食べられなくなっている人がいる。

この点について、イスラエルは、アメリカから強く批判され、先週から、物資を乗せたトラック100台以上をガザ北部へ搬入させた。

アメリカは1日350台を要求していることから、イスラエルはトラックの搬入を続けるとのこと。以下は特に激戦となっているガザ北部ジャバリヤの様子。

しかし、その後、ようやく数百人が、ジャバリヤから避難、移動を始めたとのニュースもある。

イスラエル兵2人とこれまでで最高レベル部隊長戦死

一方、ジャバリヤにおけるこの2週間の激しい戦闘で、イスラエル軍の側にも戦死者が相次いでいる。19日(土)、ガザ北部ジャバリヤでの戦闘でイスラエル兵2人が死亡した。ガザ地上戦始まって胃からの戦死者は357人となった。

死亡したのは、オフィル・ベルコヴィッツ軍曹(10)、エリシャイ・ヤング軍曹(19)

www.timesofisrael.com/50-said-killed-as-idf-strikes-terror-targets-in-gaza-tightens-grip-on-strips-north/

また、2人が所属していた第401機甲旅団司令官エフサン・ダクサ大佐(41)も死亡した。ダクサ大佐は、ジャバリヤで戦闘中、他の将校たちとともに、戦車の外にいて、仕掛けられた爆弾が爆発して死亡した。共にいた将校2人も重傷とのこと。

ダクサ大佐は、戦死者の中では、最も高レベルの司令官だった。ヘルツォグ大統領が、「イスラエルとイスラエル社会全体にとっての損失だ」と追悼を述べた。元IDF参謀総長のベニー・ガンツ氏も同様のコメントをSNSにアップした。

www.timesofisrael.com/commander-of-idfs-401st-armored-brigade-killed-in-battle-in-northern-gaza/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。