ヒズボラからのロケット弾続く:レバノン領内ヒズボラ大規模攻撃 準備始まる?2024.9.16

Firefighting crews work to extinguish a blaze in the Birya Forest, north of Safed, following a Hezbollah rocket barrage, September 13, 2024. (Israel Fire and Rescue Services)

北部国境から13キロのツファットや、ガリラヤ地方では、ヒズボラから20〜30、50発というロケット弾が、朝に夕にと続いている。大部分は迎撃しているが、山に着弾して、山火事にもなっている。幸い、負傷者は出ていない。

ドローンも来ている。

イスラエルもいちいち反撃しており、レバノンからは死者の報告もある。もはや、異常な日常になっている。

www.timesofisrael.com/hezbollah-rocket-barrage-on-safed-sparks-large-forest-fire-no-injuries/

なお、昨年10月7日以来、ヒズボラの攻撃で死亡したイスラエル民間人は26人。イスラエル兵(予備役含む)は20人。イスラエルの攻撃で死亡したヒズボラ戦闘員は438人。他のテロ組織、レバノン兵、レバノン市民は78人となっている。

イスラエル北部からは、今も約6万人が避難を余儀なくされており、まもなく1年になろうとしている。避難者たちの限界はもう超えており、国補助にも限界がある。

BBC

ヒズボラに対し、2006年の国連決議通り、リタニ川(国境から30キロ)まで下がるように要求したが、ヒズボラはレバノンとイスラエルの国境すぐそばで活動し続けている。

その後、レバノンと関係が深いフランスが、国境から10キロまで下がるよう、ヒズボラに要求したが、状況は変わっていない。

ヒズボラが、イスラエルを攻撃する理由は、ガザのハマスを支援するためと言い続けている。

行方がわからないガザのハマスのトップ、シンワルは、最近の声明の2回目として、イスラエルを攻撃しているヒズボラを賞賛する声明を出した。

www.timesofisrael.com/breaking-silence-again-hamas-head-sinwar-thanks-hezbollah-chief-for-attacks-on-north/

ネタニヤフ首相レバノン領内ヒズボラへの攻撃示唆:北部都市へ自衛武器・医療用品配布開始

このままでは、避難民を自宅に帰すことは不可能である。イスラエルは、外交的な努力が結果を出さない場合は、避難民を帰宅させるということが大きな理由として、大規模なヒズボラとの戦争に突入すると言っている。

in Washington, June 25, 2024. (AP Photo/ Susan Walsh)

ギャラント防衛相もアメリカのオースティン国務長官との電話会談の中で、ヒズボラがハマスと連携していることは否定できず、外交的解決は限界に近づいていると伝えた。

その後、国防省は、北部国境地域に、5000万シェケル(約20億円)を投資して、国境地域97地点にある、いわば自警団への最先端ライフル(全部で9000丁)などの配布を始めた。

第一段階として、北部国境の地方評議会と、マアロット、ナハリヤや、キリアットシモナなど北部国境の都市などに戦闘、軍服、救助用医療用具などが配布された。

MOD
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第二段階としては、ゴラン高原のコミュニティへの配布、再装備が予定されている。

国防省長官によると、イスラエルは、10月7日のハマスの侵入を受けて、国境自治体の自衛能力を強化する方策をとっているという。

同様に、北部国境でも、万が一のヒズボラ侵入備え、地域の軍備と訓練も行っていくとのこと。(GPO(政府プレスオフィスよりの情報)

www.timesofisrael.com/security-cabinet-expected-to-make-return-of-northern-residents-an-official-war-goal/

石のひとりごと

地方自治体に自衛用の武器や、戦闘が始まった時の負傷者対応の用具を配布するなど、日本では、まったく考えられないことである。しかし、イスラエルでは、この対処を、画期的と賞賛する様子である。

戦争は、攻撃されるのを待ってからの対処ではすでに遅いということをイスラエルは、国もその市民も知っているのである。

レバノンのヒズボラとの対戦は、近いのかもしれない。もしそうなれば、イランはじめ、ハマス、フーシ派などはどう出てくるだろうか。

アメリカはどう出るのか。イランは、ロシアにドローンや核兵器の提供もしているのではとの疑惑もあがっている。イランに仮のあるロシアも関わってくるのだろうかとは考えすぎであればと思う。

もしレバノンへの攻撃が避けられないなら、最善のタイミングで、できるだけ早く終わり、できるだけ死者が出ないようにと祈るのみである。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。