ガザの今:ガザの中で戦うイスラエル軍予備役兵たちの声 2024.9.16

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ガザの現状

ラファでは、南部ラファで、エジプトとつながるトンネルは全て破壊し、この地域でのハマスはもはや絶滅状態にあるとイスラエル軍はみている。

しかし、ガザ各地における人質捜索、地下トンネルやハマス拠点の破壊作業、それに伴う戦闘は、今も各地で続いている。人質がどこにいるのかの新しい情報はない。

こうした中、14日には、アシュケロンへロケット弾が、2発発射された。1発は迎撃、1発は海へ着弾し、被害は出ていない。ハマスからのロケット弾は、久しぶりであった。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/idf-says-rocket-fired-from-gaza-at-ashkelon-intercepted-another-lands-in-sea/

戦闘の中で行われていた、ガザでのポリオワクチン接種。15日、WHOは、ガザの子供(10歳以下)90%にあたる55万2451人が、ポリオ・ワクチン1回目接種を終了と発表した。

www.timesofisrael.com/who-confident-over-90-of-children-in-gaza-received-first-polio-vaccine-dose/

ガザ内部のイスラエル軍の様子:Times of Israel記者報告

もうすぐ1年になろうとするガザとの戦闘である。Times of Israelが、ガザ内部で戦う予備役兵(招集されて従軍する市民兵)部隊を訪問。映像による報告が出ていた。

激しい破壊の中、野犬が結構いるようである。

ガザの中にいる兵士たちの日々の様子、毎日何があるかわからない。突然頭に上で爆弾が炸裂するかもしれない。毎日がサプライズである。

家族との連絡も取れず、共にいる兵士たちが家族になるという。

ある兵士は、フランスからイスラエルに来て国際関係の博士号の勉強をしていた。その後招集されて今、ガザにいる。自分の人生のビジョンはもっていたが、こんなことになるとは夢にも思わなかった。でも今イスラエルのビジョンの中にいるのだろうと語っている。

また別の兵士は、できるだけたくさん破壊することが目的ではないし、それを避けたいが、他に選択肢がないと感じる。最初のころは、戦闘中にたくさんの市民や子供たちがいたので、心が痛んだ。

でも今は、市民はほとんど見られなくなった。でもガザの中を移動する市民の様子は見るに絶えなかった。ガザの人々のためにも、このガザの現状が早く終わることを望むと語っている。

別の兵士は、家族は自分がここにいることを望んでないけど、理解はしている。イスラエルは、ハマスのイデオロギーから国を守るために戦っている。また別の兵士は、夜になると、向こうにイスラエルの光がみえる。それでなぜここにいるのかを理解すると語っている。

取材した記者は、ガザの状況を見て、本当に心が壊れる思いだった。この11ヶ月は悲劇だと語っている。

石のひとりごと

ガザで日々を過ごす予備役兵たちの様子に、心打たれた。本来なら、イスラエル国内で、それぞれの人生を歩んでいるはずの普通の人々である。なぜこんなところにいるのかと思わないはずはないだろう。

そこで怒りや反抗ではなく、祖国のためにやっていることであり、人生を捧げていることに意味を見出している。見出すしかないということだろう。

日本のニュースでは、とにかくイスラエル軍がいかに残忍かという色しか見えてこない。しかし、そこで戦っているのは、私たちとそう変わらない価値観で人生を送っていた、普通の人々だということもわかってほしい。

ガザを破壊することに心痛めていること、移動を強いられるガザの人々を見て心を痛めていること、人間として当たり前の感情を持つ人々であるということである。

ハマスとそのイデオロギーこそが、イスラエルの人々と、ガザの人々の人生を狂わせ、地獄の苦しみに突き落としている根本的な原因であると断言できる。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。