西岸地区の強硬右派ユダヤ人グループがアラブ系イスラエル人女性と子供を襲撃:2人逮捕 2024.8.13

2020年近隣と放火騒ぎの時のギブアット・ロネン入植者たち Settlers from June 17, 2020. (Israel Fire and Rescue Services)

西岸地区情勢を、難しくしている問題の一つが、いわゆる入植者と言われる強硬右派ユダヤ人である。パレスチナ人の村を襲撃するなどして、問題になっている。

今のネタニヤフ政権にいる強硬右派政党閣僚たちがこれを指示するので、国内外から批判を受けている。

11日、アラブ系イスラエル人女性4人と子供1人が、南部ベドウインの町ラハトから、パレスチナ人の町ナブルスへ向かっていたところ、間違って、西岸地区北部のユダヤ人の入植地、ギブアット・ロネンに、入り込んでしまった。

すると、入植者たちがきて、石を投げつけられて負傷。銃を突きつけ車に火をつけたため、あわてて車外に出たという。

女性たちはなんとか、徒歩で逃げ出し、イスラエル治安部隊にたどり着いて保護された。

この事件について、極右ベングヴィル氏の政党所属のハリメレク議員が、被害者の車にイスラエルのナンバープレートが付いていなかったからだと正当化しよとした。(プレートがついていなかったらリンチしていいのかという問題もあるが)

被害者で負傷したラミス・アルジャエルさんは、これを否定した。ラミスさんの2歳の娘はこの事件後、ショックで食事もできず、夜も寝られなくなっているという。

これを問題視したヘルツォグ大統領が、ラミスさんを見舞い、ラミスさんの夫にも会い、これを問題視すると表明した。

ラミスさんたちはユダヤ人ではないが、10月7日の事件の時は、被災地に近いこともあって、逃げてくるユダヤ人を助けていた人々であった。

今回問題になったギブアット・ロネンは、周囲パレスチナ人住民たちと、数々の暴力事件を起こして問題になっている地域である。今回の事件を受けて、2人が逮捕された。ただ逮捕されても、極右のベングヴィル氏が、警察庁を管轄する大臣なので、すぐに出てくる可能性が高い。

www.timesofisrael.com/two-detained-on-suspicion-of-assaulting-arab-women-and-child-in-west-bank-outpost/

石のひとりごと

イスラエルは実に多様な国である。あらゆる種類のイデオロギーがあり、これを一つにまとめることは尋常ではない。国外に敵を抱えるだけでなく、国内にも意見が合わない勢力もいる。それが一つの国イスラエルとして立っていることは、やはり奇跡といえるのかもしれない。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。