イスラエル軍準備完了強調も国内は複雑:人質交渉は事実上中断か 2024.8.6

IDF Chief of Staff Lt. Gen. Herzi Halevi (center left) meets with United States CENTCOM chief Gen. Michael Kurilla (center right) in Tel Aviv on August 5, 2024 (IDF)

IDFとアメリカは準備完了と

イランの攻撃が、24―48時間以内に始まる可能性が高いとされたが、まだどういう動きになるのかは見えていない。

イスラエルは、どんな状況にも対処できると発表している。また5日には、アメリカのクリラ中央軍司令官がイスラエルに到着し、米軍との協力体制もすすんでいる。

今後、イランが攻撃準備に入ったとの確実で明確な情報があれば、イスラエルは、先制攻撃に出る可能性も示唆している。

軍事体制だけでなく、特に激しい攻撃が予想される北部地方自治体と軍の協力体制にも備えたと言っている。

*昨日の記事で、北部最大の都市ハイファに原子力発電所があると書いておりましたが、間違いです。ハイファに重要な発電所はありますが、原子力発電ではありません。重要な間違いでした。深くお詫びいたします。

また、イスラエル北部では、病院も大勢の負傷者が来ても対処できるように準備したと言っている。世界保険機構は、激戦になると予想されているレバノンに、外傷キットなど医療物資を32トン届けたのこと。

www.timesofisrael.com/israeli-hospitals-declare-themselves-prepared-for-mass-casualty-events/

人質交渉はイランの攻撃が終までは中断か:テルアビブでは人質のアリエル・ビバスちゃん5歳の誕生日を祝う群衆

ハマスの政治部門最高指導者で、人質交渉の代表であったハニエが死亡したことで、ハマスが態度を硬化する可能性がある一方、交渉は続ける様相もあり、情報は入り乱れている。

また、ハマスは、ハニエの後任候補を何人か挙げており、審議を行っているところである。加えて、イランとの戦争も逼迫しているので、ハマスも事実上、交渉は、しばらく棚上げと言っているという情報がある。

www.timesofisrael.com/hostage-talks-on-hold-until-after-iran-response-replacement-of-haniyeh-officials/

in Tel Aviv, August 5, 2024. (AP Photo/ Mahmoud Illean)

こうした中、10月7日にハマスに、キブツ・ニール・オズから一家全員拉致されたビバスさん家族のアリエル君が、8月5日、5歳の誕生日を迎えた。これを記念して、テルアビブでは、数千人の群衆が集まった。

www.timesofisrael.com/theres-no-celebration-thousands-rally-as-redhead-hostage-ariel-bibas-turns-5/

息子一家全員を拉致され、その場所のみならず、生死もわからないままになっているプニナ・ビバスさんは、アリエル君に手紙を書き「あなたがいなくてどれほど寂しいか。時間が止まったようだ。」と苦悩の表情をみせている。

www.timesofisrael.com/as-ariel-bibas-turns-5-in-gaza-captivity-his-grandmother-dreams-of-seeing-him-again/

超正統派がまた従軍拒否デモで警察と衝突

いよいよイランとの戦争が始まるかという5日、テル・ハショメールの徴兵事務所前で、ユダヤ教超正統派が、従軍に反発するデモを行い、警察と乱闘になった。

警察によると3人が逮捕された。

イスラエル政府は、超正統派のイシバ学生も段階的に徴兵することを決めた。対象となるのは、6万3000人だが、まず1000人に徴兵令を出すと伝えられていた。

Times of Israelによると、これまでに900人に徴兵令が出ており、5日に500人、6日に400人が出頭することになっている。超正統派の指導的ラビが、これに応じないよう指示を出していることから、徴兵に応じるのは、3分の1程度ではないかとみられている。

www.timesofisrael.com/haredim-clash-with-police-as-first-draftees-slated-to-report-to-idf-recruitment-office/

超正統派たちは、レビ人的な祭司だと認識しており、軍隊で銃をとって戦うのではなく、祈りで戦うと主張している。

しかし、その人数が増えすぎていることと、世俗派の若者が戦死している中で、不公平感が広がっていること。イスラエル軍も人手が必要になっていることからの方針転換である。

国が戦争に向かおうとする中、国内でこんな争いがあることは、なんとも悲しい光景である。

www.timesofisrael.com/haredim-clash-with-police-as-first-draftees-slated-to-report-to-idf-recruitment-office/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。