イランとの多方面戦争今日明日中勃発か:イスラエルの準備状況は 2024.8.5

(Photo: Na'ama Greenbaum, AFP)

イランのイスラエル攻撃はもはや避けられない流れ

アメリカはペルシャ湾や地中海東部に空母など軍備増強を行なっている。これは、イランとの戦闘開始を抑止する効果をねらったものである。

Tehran, Iran, Aug. 1, 2024. (AP Photo/Vahid Salemi)

しかし、イランは、あくまでもイスラエルへの報復をするという態度を変えていない。

アメリカは、イランに、もしイスラエルを攻撃すれば、全面戦争に発展する可能性があると緩和対策を求めた。しかし、イランはこれを拒否した。

また、アメリカメディア(WSJ)によると、レバノンとヨルダンの外相がテヘランを訪問し、イランの説得を試みたが、イランの態度に変化をもたらすことはできなかった。

G7も、イランに落ち着くよう警告したが、イランの態度は変わっていない。

www.timesofisrael.com/jordans-fm-to-make-rare-visit-to-iran-as-us-allies-scramble-to-prevent-escalation/

www.timesofisrael.com/iran-said-to-dismiss-us-arab-nations-calls-for-restraint-even-if-it-sparks-war/

アメリカ国防軍クリラ長官(左)とIDFハレヴィ参謀総長 IDF

こうした中、昨日4日、ブリンケン米国務長官は、24-48時間以内にイランがイスラエルへの直接攻撃を行う可能性があると発表した。

5日には、CENTCOM(アメリカ中央軍)のマイケル・クリラ長官がイスラエル入りする。

なお、ブリンケン国務長官は、4月に300発のミサイルやドローンをイスラエルに向けて発射した際(99%迎撃成功)に、迎撃に協力した地域の国々との調整を、先週から開始していた。

今後の予想:イスラエルは5つの戦線に直面する可能性も

現在の焦点は、イスラエルとアメリカが、イランの動きを十分早くに察知できるかどうかにかかっているといわれている。4月にイランがイスラエルに向かって発射した300発のミサイルやドローンに善処できたのは、情報獲得が速かったことが大きな要因であった。

しかし、今回の攻撃は、イランの攻撃の種類がどんなものになるのかもわかっていない。またイランとともに、ヒズボラとハマス、フーシ派、イラクのシーア派武装組織などが、多方面から一斉にイスラエルへ攻撃してくる可能性もあり、次の攻撃は、4月のものを超えることが予想されている。

Ma’ayan Toaf (GPO)

このため、状況によっては、イスラエルが先制攻撃に出る可能性もあると伝えられている。

ネタニヤフ首相は、4日夜遅くに治安関係者を招集し、考えうる事態を想定し、対策を協議した。

イスラエルのメディアによると、イスラエルは、内容は不明だが、5つの戦線に直面すると想定しており、数千にのぼる施設に被害が出る可能性がある。多くの犠牲者に備える必要があるとしている。

側近で考えられる動きとしては、①テルアビブ、ハイファなど都市への攻撃・政府軍関係者自宅への攻撃、②イラクのシーア派組織によるイスラエルとアメリカの拠点への攻撃などが考えられている。

また、10月7日以降、GPS障害により、Googleマップや、ウエイズなどナビ関係で時々障害が出ている。今後、大規模なサイバー攻撃もあると考えられる。

国際社会からは、イスラエルはどこでどう対応するのかとの質問が出ているが、イスラエルもどんな反応を考えているのか、どのようにどこを攻撃するのかを明らかにしていない。

そのためか。G7の国々は、市民たちにレバノンから退避するようにとの指令を出している。日本も本日、レバノンにいる日本人たちに、レバノンから出国するように指示を出したとのこと。

イスラエル市民の準備

イランとの戦闘が避けられなくなった今、イスラエル軍は、市民に対し、ロケーションに応じて警報を発する新しいシステムを発表した。

アプリではなく、携帯電話に緊急情報が、避難を必要としている地点にいた場合にのみ、ポップアップするシステムである。これはGPSで発生している混乱には影響されないという。

イランがイスラエル住民に恐怖を与えようとしているとみられることから、IDFのハガリ報道官は、市民の戦争への準備や避難に関しては、これまでとおなじれあることを強調している。言われなくてもイスラエル人たちは、もう慣れているといえる。

wiki

Times of Israelによると、特に北部港湾地区である、イスラエル第三の都市、ハイファ(人口28万人)が攻撃の対象になる可能性が高い。

ハイファには発電所や、水道に関係する施設もある。ハイファでは、現時点で大規模な集会を中止している。(治安当局は否定)また、有害物質を出す可能性のある工場から、それらに物質を移動させたり、工場事態が閉鎖されているところもあるとのこと。

ハイファの住宅地域には、数百ヶ所のシェルターがあり、避難所も110ヶ所ある。住民たちは、食糧やトイレットペーパー等、すでに戦争への準備をしているのか、今になって、あわてて買い置きをしようとする人も出ていないとのこと。

www.timesofisrael.com/in-haifa-locals-meet-the-prospect-of-imminent-war-with-calm-resolve/

石のひとりごと

いよいよ始まってしまうのか。緊張を覚える。この緊張の中、主がどんなことをされるのか。その思いもあるが、どうにも緊張である。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。