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ユダヤ教超正統派イシバ(神学校)学生の徴兵問題
イスラエルを分断させることがもう一つある。超正統派の兵役義務である。戦争が長引き、一般市民から徴兵された人は30万人に上る。徴兵された若者たちが、300人以上、戦死している中、同じ年頃なのに、超正統派が兵役を免除されてることに不公平感が広がっている。
これを受けて、先月、最高裁が、超正統派にも兵役に義務ありとする歴史的な判決を下した。これにより、イシバ(ユダヤ教神学校)学生約6万3000人が、徴兵の対象になる流れになっている。ギャラント防衛相は、来月からでも徴兵手続きを開始すると発表した。
www.timesofisrael.com/defense-minister-says-idf-will-start-drafting-ultra-orthodox-men-next-month/
これに対し、超正統派は猛反対。エルサレムでは大規模なデモも発生した。ユダヤ教超正統派の著名なラビたちは、これに応じないようにとの指示を出しており、本当に徴兵が始まれば、混乱が予想される。
一方、国会では、これとは逆の法案、超正統派の徴兵免除年齢を徐々に21歳まで下げて、事実上、イシバ学生は徴兵免除になる法案を通そうとする動きがある。
国会で審議された際、与党政権の中で、唯一ギャラント防衛相がこれに反対票を投じたため、法律にはまだなっていない。
今期国会は7月28日までに、この法案が可決しない場合は、来季10月に持ち越されることになるが、もしこの案が通らなかった場合、ユダヤ教正統派、今の政権から離脱すると言っており、そうなれば、政権は崩壊ということになる。
一般徴兵(男性)の徴兵期間延長案
ネタニヤフ首相がバランスをとろうとしているのか、一般庶民の徴兵期間を延長する案も、国会で審議されようとしている。
それによると、現在男性は、5年で32ヶ月の従軍義務があるところ、36ヶ月に延長され、実質徴兵8年に延長されることを意味する。
ただし、今の緊急時だけのことで、戦争が落ち着けば32ヶ月に戻されるとのこと。具体的には、戦闘員の場合、徴兵義務がが40歳から41歳までに、それ以外の場合は、45歳から46歳までになる。
www.timesofisrael.com/ministers-to-vote-sunday-on-extending-male-mandatory-idf-service-to-3-years/
イスラエルは今、北南、そして西岸地区から、イランからと危機的な戦争の中にいるが、国内の混乱も、非常に複雑で危機的な状況にあるといえる。