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先月、戦時内閣から元IDF参謀総長のガンツ氏とエイセンコット氏が離脱したほか、IDFのハガリ報道官が、ハマスは理念であり、完全な殲滅は不可能だとの考えを明らかにし、今もハマス殲滅を上げているネタニヤフ首相と完全に一致していないことが明らかとなった。
このような深刻な戦闘の中にあって、その後も、両者の不一致が出てくる事態になっている。
イスラエル国内指導部の混乱
1)IDF幹部は停戦支持か:ネタニヤフ首相は否定
ニューヨークタイムスは、2日、名前を出さない形でイスラエル軍指導部6人(現役と元治安関係指導者)が、たとえ、ガザにハマスが残留するとしても、ガザでの戦闘を停戦にすべきだと考えていると語ったと伝えた。
ネタニヤフ首相はこれを強く否定した。
しかし実際のところ、ガザを訪問したハレヴィ参謀総長は、ガザでの戦闘が長引くとの見方を語っており、多くのイスラエル兵も戦死が続いている。
兵役につく人にも限りがあり、超正統派の徴兵をゴリ押ししなければならなくなっている。ハガリ報道官も、ハマスは理念であるとして、完全に排斥することはできないとも語っていた。
とはいえ、ハマスを残したまま停戦することが、今後のイスラエルの治安にどういう影響を及ぼすかの懸念も否定できないことである。
ヒズボラやイランとの対立の可能性もある中、ネタニヤフ首相と軍部が、完全に一致していないという、非常に難しい状況に、ネタニヤフ首相は立っている。
2)ガザ病院医長釈放でネタニヤフ首相激怒
2日、ハマスと協力していたとして逮捕された、ガザ地区シファ病院の院長、モハンマド・アブ・サルミヤ医師を含む55人が、釈放され、ガザへ送還されていたことが明らかとなった。以下は、ガザで迎えられるサルミヤ医師。
في أول كلماته بعد تحرره..
مدير مستشفى الشفاء د. محمد أبو سلمية: "وضع السجون مأساوي وصعب جدا، ويجب أن يكون هناك كلمة حاسمة للمقاومة والشعوب العربية من أجل حرية الأسرى". pic.twitter.com/8QWIgydHUD
— قناة فلسطين اليوم (@Paltodaytv) July 1, 2024
イスラエル軍は、ガザなどで拘束したパレスチナ人戦闘員については、調査を行い、危険性が少ないと判断された者については、随時釈放している。
しかし、サルミヤ医師は明らかに釈放されるべきでない人物。ネタニヤフ首相は、これは、重大な過ちだと激怒した。
この判断をしたのは、諜報機関シンベト(ロネン・バル長官)であった。
バル長官は、イスラエルの刑務所はもはやパンク状態で危険レベルになっていたため、サルミヤ医師らを釈放したと言っている。サルミヤ医師の部屋は広かったので、スペースを開けることができたという。
非難されたバル長官は、これまで刑務所が危険レベルにまで混んでいると警告してきたのに、政府は対処しなかったではないかと反発している。
ガザなどで逮捕されたパレスチナ人は、イスラエル国内の刑務所に収容されている。その数は増え続けており、現在、1万4000人が上限のところ、2万1000人が収容されているという。その劣悪な環境などが国際社会でも問題にされ始めている。
捜査の結果、どの囚人を釈放するか、これまでからもネタニヤフ首相やギャラント防衛相などに相談なく、シンベトの権限で決められていたという。
極右のベン・グビル氏は、バル長官を解任すべきと言っている。しかし、バル長官がずっと警告していたことから、警察庁の責任者として、刑務所にかかわりのあるベン・グヴィル氏も、責任がないとはいえない。
ネタニヤフ首相、ギャラント防衛相やネタニヤフ首相、最高裁判所にも責任がないとはいえないではいかと、責任問題の追求合戦になっているとのこと。
石のひとりごと
今、イスラエルは3方向を敵に囲まれ、世界戦争にまで発展するようなところに立っている。その決断をするネタニヤフ首相と軍部が一致していないという、恐るべし事態である。
しかし、そうした中で、これを報じているのがニューヨークタイムスというのもひっかかるところではある。停戦させようと情報を流している可能性もあるかもしれない。
しかし、こんなややこしい時に、イスラエル国内の指導部は一致しておらず、大物をよりにもよって、ガザへ釈放するという、とんでもない大穴も掘った。
これからどうなるのか。。主の約束により頼んで、イスラエルが守られるように。